● みなさんこんにちは、まこちょです。
英語の動詞には「自動詞」「他動詞」の用法がありますが、通常「自動詞」は名詞を後ろに直接置くことができません。
もしおきたい場合には前置詞を間に入れて表現する、これは動詞の使い方として最初に習う用法ですよね。
例 「昨日、私たちはその計画について議論した」
We discussed the plan yesterday.
=We talked about the plan yesterday.
discuss (他動詞)+名詞
talk (自動詞)+ 前置詞 +名詞
ところが先日ある生徒が私にこう質問してきたんですよね。
「先生、agreeは「自動詞」かと思うのですが、なぜthat節を後ろに置くときは「他動詞」になるのですか?agree to / with 名詞と通常は表現するのに、that節が後ろに来たときだけagree that S+Vとなるのは納得いかないのですが」
というもの。これは英語学習をすすめていると必ず一回はぶち当たる疑問ですよね。
そこで今回は、なぜ自動詞なのに、that節を直接動詞の後ろに置くことができるのか?この点をしっかりと解説します。
またこういった自動詞は一体どのくらいあるのかをまとめますので、ぜひ今後の英語学習に役立ててくださいね!
なぜinsist on that S+V~という形はダメなのか?
例えば自動詞の代表としてinsistという単語があります。「主張する」という意味なのですが、自動詞ですので、後ろに名詞(句)を直接置くことができません。
したがって英文表現は以下のように表現するんです。前置詞のonを間にはさんで表現するんですよね。
例
He insisted on doing it alone.
「彼は一人でそれをすると主張した」
doing…aloneの箇所は「動名詞句(名詞句)」なので、前にonが必要です。ところがこれが同じ【名詞】の種類である、名詞節のthat節を置く場合は以下のように置いてはいけません。
× He insisted on that he should do it alone.
that節(名詞節)を後ろに置くときは、前置詞を取って以下のように表現するんです。
〇 He insisted that he should do it alone.
つまりthat節にときには、insistは「他動詞」として扱われていることになります。これって冷静に考えたらおかしいですよね?
つまりinsistは以下のようにまとめることができるということですね。
【insistの語法】
① 後ろが名詞(句)のとき
insist (自動詞) on + 名詞(句)
② 後ろがthat節(名詞節)のとき
insist(他動詞)+ that S+V
おもわず「何でだよ??」と思ってしまう英語学習者も多いのではないでしょうか。「どっちかにしろよ!どっちかに!」と英語学習のあるあるがここでも炸裂してしまうわけです。
that節についての語法
なぜこんな現象が起こってしまうかというと、動詞の語法というよりも、that節を使う際のルールに関係しているんですね。
that節は一見自由度が高いように見えるのですが、なかなか制約が多い節です。that節を使うときは非常に重要なポイントになりますので、しっかりとまとめておくと良いでしょう。
● that節のルール
① 前置詞の後ろに置けない(例外あり)
② 文頭のthatは省略できない
そう、実はthat節の特殊ルールに「前置詞」の後ろに置けないというのがあるんです。ですから先ほどの例文ですが
× He insisted on that he should do it alone.
この文はthat節のルールに違反しているのでアウト。私たちの見方からすると前置詞の後ろに名詞のthat節を置くのは理にかなっているように見えるのですが残念ながらダメなのですね。
昔はinsist on it that S+Vと表現していた
この「that節は前置詞の後ろに置けない」というルールはかなり当時の英語学者たちを困らせた背景が見えるんです。それが以下の英文法表現にも現れていますね。
insistは先ほども説明した通り、通常は「自動詞」、そしてthat節が後ろに来たときは「他動詞」ということですが、実はそれは便宜上そう呼ばれているだけです。
実は一昔前はthat節を後ろに置くときもinsistは「自動詞」として扱われていたんです。それがon itの存在。
He insisted on it that he should do it alone.
これは一体なんだ?と思った方もいるかもしれません。これがthat節をinsistの後ろにダイレクトに置かないようにする苦肉の策だったんです。
このitは俗にいう「仮目的語」で、もちろん「真目的語」はthat節以下。こうすることによって、前置詞onの後ろに置いてあるのはthat節ではなくただのitの名詞になるわけです。
insistが「自動詞」であるという点を守り、そして前置詞のルールをクリアしつつ、しかも後ろにthat節も置けるという、どの角度から突っ込まれても「英文法の主張(?)」を守った形が以前は採用されていたんです。
ところがこの形、見たらわかると思いますが少々面倒くさい形をしていますよね?毎回毎回この形で英文を表現していたら、それはそれはわずらわしかったはずです。
そう、そこで今の形が生まれたのでした。前置詞onとitの部分を外して、いっそのことダイレクトにinsistの後ろにthat節をつけちゃえ!そうすると見た目は「自動詞」に見えないから、この時は「他動詞」と読んじゃおうぜ!と出来上がったのがこの「自動詞のくせに後ろにthat節」の真相なのでした。
He insisted on it that he should do it alone.
↓
He insisted (on it) that he should do it alone.
↓
He insisted that he should do it alone.
もちろん口語では「前置詞+it」の部分は省くのがデフォです。
※ここでちょっとカルトなネタを1つ。
「名詞節のthat節は前置詞の後ろに置けない」というルールは覚えておいてよい使えるルールですが、それでも「例外」というものは存在します。
前置詞のexceptとinは後ろにthat節を置ける非常にレアなケースであることは、マメ知識として押さえておくと良いでしょう。
● in that S+V 「SがVであるという点で」
例
Men differ from animals in that they can think and speak.
「人はものを考え、言うことができるという点で動物と違う」(weblio辞書)
● except that S+V「SがVであることを除いて」
⇒ exceptとexcept forの違いと使い分けを徹底解説!
自動詞なのに後ろに直でthat節を置く動詞
自動詞+that節の形をとれる動詞はinsistだけではありません。他の種類の動詞をまとめましたので参考にしてください。
● 直接that節を置く自動詞 ※( )は後ろにつける前置詞
agree(on / with / to) 「同意する」
boast (of)「自慢する」
complain (of / about) 「不満を言う」
see (to)「気をつける」
swear (to) 「誓う」
例
See to it that you don’t fall.
「倒れないように注意してください」
※to itの部分は省略可
that節の前に【必ず】「前置詞+it」が必要な動詞
自動詞+that節の形は、that節の前に「前置詞+it」が省略された形だと、今回の記事で解説してきましたが、この「前置詞+it」はいつでも省略できるわけではありません。
動詞によっては前置詞+itの部分を必ず残さなければならないものもあるんです。これは暗記必須なので、ぜひ覚えてくださいね。
● depend (on / upon)+名詞(句)「~を当てにする」
● rely (on / upon)+名詞(句)「~を当てにする」
= depend (on / upon) + it that S+V
= rely (on / upon)+ it that S+V
● answer for it that S+V「保証する」
※赤字の部分は必ず表記事しなければなりません
例
〇 You may depend on it that he will help you.
× You may depend that he will help you
「彼が君を助けてくれると当てにしていいよ」
あとがき
さて、今回はいかがでしたでしょうか。自動詞のはずなのに、他動詞のように後ろに名詞節のthat節を取るって、よく考えたら不思議なお話ですがやはりもともとは自動詞としてつじつまが合うような形をしていた、というのが真相だったということですね!
ぜひ困ったときは、前置詞+itの存在を思い出してみてください!
また会いましょう。
コメント