この記事は
「正直、助動詞wouldが大の苦手です。用法が多すぎて。そもそもwouldってwillの過去形じゃないんですか?それが「丁寧」表現だの「仮定法」のwouldだのと…もう本当にいい加減にしろ、ていう感じです。なんかwouldについて上手く理解するコツみたいなものはありますか?」
とwouldに対して若干キレ気味の英語学習者に向けて書いています。
●みなさんこんにちは、まこちょです。
助動詞の学習のなかで、とくに英語学習者を苦しめるものにwouldがあります。これは本当に厄介なしろもの(?)ですよね。
willの過去形としてwouldと表記してあるのに、実は「推量」表現で過去形ではない、とか言われてしまうと本当にもう何なのよ!とか思ってしまっても致し方ないかと。
そこで今回は英文中でwouldを見かけたらいったいどのように処理していけばよいのか、wouldの用法をご紹介しつつ、対応策を考えてみようかなと思っています。
この記事を最後まで読了すると、以下の点であなたの英語力は飛躍的に向上します。
▶ wouldを見かけたら考えるべき手順が分かる
ぜひマスターしていただいて今後の英語学習にお役立てください。
これがwouldの全用法だ
wouldの用法について学習すると何よりもみなさんが戸惑うのが、wouldはwillの「過去形」として教えてもらったはずなのに、実際には過去の意味など微塵もないwouldがあることなんです。
しかも【過去】じゃないwouldの用法は1つだけでなく、意外にも複数個存在するのがこのwouldの使い方をより難しくしている要因なんですよね。
ですからwouldについて学習するときには、まず以下のことを念頭に置いて学習することが極めて大切です。
【wouldの用法】
- 過去と現在の2つの使い方がある
- wouldに限らず助動詞の過去形は「現在」を表すことが極めて多い
ではwouldの用法を細かく見ていきましょう。まずは純粋に「過去」を表すwouldから学習していった方が賢明です。
なぜってもともと「wouldはwillの過去形だよ」と中学時代に刷り込まれている英語学習者が、私を含めて非常に多いからですね。
したがってまずは「過去」としてのwouldから攻めた方が、心のダメージ(?)が少ないというわけです。ちょっとwouldの用法を以下に列挙してみます。赤い箇所が「過去」として使われるwouldの用法です。
【wouldの用法】
- 時制の一致
- 過去の習慣
- 過去の固執
- 推量
- 仮定法
- 丁寧(婉曲)表現
う~ん…馬鹿みたいにたくさん用法がありますね(笑)これはwouldは嫌われて当然ですね。
これはやみくもに当たると途中で訳が分からなくなる可能性が大ですから、まずは赤い箇所、つまり「過去」としてのwould表現に注目してみましょう。
時制の一致のwould
時制の一致というのは、英文の主節の時制にしたがって従属節も現在形なら過去形に、過去形なら過去完了形(大過去)にするという英文法のルールです。
例
I think that it will rain.
「雨が降ると思う」
↓
I thought that it would rain.
「雨が降ると思った」
例
My grandmother told me that I would be a big person.
「祖母は私に「あなたは大物になるわよ」と言った」
例
She said he would go to the park.
「彼女は「公園に行くつもりだ」と言った」
これは比較的簡単ですね、なんせ単純にwillを過去形にすればいいのですから。ですがこの時制の一致はたまに「例外事項」があってみなさんを苦しめますので、時間を見つけて以下の記事をチェックしておくと良いかもです。
過去の習慣
wouldは「過去の習慣」といって「(昔は)よく~したものだ」という表現をすることができます。もちろん「過去」です。
よくwould oftenやwould sometimesなどという形で表現することがありますが、would単体で使うことももちろんOK。大学入試・資格試験等にもよく出題される「お約束」のような用法です。
例
He would often take a walk in the morning.
「彼は昔、朝に散歩していたよ」
例
ちなみに今回のテーマとはやや方向性がずれますが、この「過去の習慣」を表すwould(often)とused to、そして過去形の【違い】を問う文法問題が難関私大を中心に出題されます。以下の記事でチェックをしておきましょう。
過去における固執
「過去の固執」なんて書くといかにも難しそうに聞こえるのですが、要するに意味は「どうしても(何が何でも)~した」という意味です。
つまり「かたくなに何かをした」という頑固な用法で、通常の過去のパワーアップ版(?)と捉えてくれて結構です。
例
His income was still small, but she would marry him.
「彼の収入はまだ少なかったが、彼女は彼と結婚すると言ってきかなかった」
このwouldを否定文(wouldn’t)で使うと「拒絶」の意味になります。「どうしても~しようとしなかった」ですね。
例
Ayana wouldn’t do what she was told.
「彩名は言われたことを どうしてもしようとしなかった 」
例
We tried to persuade him, but he wouldn’t change his opinion,
「私たちは彼を説得しようとしたが、彼はどうしても考えを変えなかった」
と、ここまでが純粋にwouldを「過去」として使った表現です。この3つは非常に分かりやすいのですが、後半の青い箇所の3つ、「推量」と「仮定法」と「婉曲(丁寧)」表現は、形こそwouldと過去形ですが、実際には「現在」を表す用法です。
助動詞の過去が表す3つの要素
なぜ過去の形なのに現在を表すのでしょうか。それは助動詞の過去形が持つある特性が関わっているからなのです。
助動詞の過去形は「時間」的な「過去」だけでなく現実との「距離感」を表す
私たちは「過去」と聞くと、時間軸としての「過去」を連想しがちですが、助動詞の過去はそれだけを表現するものではありません。
私たちは今「現在」を生きていますが、助動詞の過去形はこの現在から見て次の3つの「距離感」を表しているんです。
【助動詞の過去形の3つの距離感】
- 「時間的」な距離感
- 「人間関係」の距離感
- 「真実(確信)」からの距離感
このうち①の時間的な過去は先ほどご紹介したwouldの使い方そのものなのですが、実はこの3つの「過去形」の特徴はそれぞれつながっています。
例えば2の「人間関係」の距離感なのですが、時間的に過去になればなるほど「人間同士の親密度」も稀薄になってきます。
人間同士の関係は「現在」に近ければ近いほど「親密度」は増しますよね。その逆に「過去」になればなるほどその「親密度」は弱まります。
弱まった人間関係になってしまったとき、人はどうするでしょうか。いつしか「タメ口」はなくなりどこかよそよそしい雰囲気になり、しまいには現在の相手の状況がよく分からないから、思わず「丁寧」な言葉を使ったりしてしまいますよね。
そう、そこで助動詞の過去形を使って「丁寧」な事柄を表すようになったのです。
例
Would you please hold the door?
「ドアを押さえていただけますか」
例
Would you mind closing the door?
「ドアを閉めていただけますか?」
そういえばwant to~「~したい」の丁寧表現にwould like toがありますが、これも助動詞の過去形が使われていますよね。
例
I would like to get a ticket to Staten Island.
「スタテン島行きの切符がほしいのですが」
依頼や勧誘を表す場合、
Will you ~ ?
↓
Won’t you ~ ?
↓
Would you ~ ?
の順で丁寧さが増します。特に助動詞の過去形を使うと相手のことがよく分らないので、相手を立てる、という意味で使うことになります。
また、人間関係が疎くなると、その方と過去に行ったことがだんだんと曖昧になってきます。例えば今現在のことなら、自分が行っていることを確実に言うことができますよね。直近であればあるほど、その内容は信ぴょう性が強いでしょうね。
ところがこれが30年前になると、たとえその話が真実だとしても信ぴょう性は弱くなりますよね。現実味がなくなると言いますか。
それが仮定法は「過去形」を使う理由です。過去形を使うことで現実味がないニュアンス、つまり一言でいうと「ウソっぽい」表現を出すことができるんですね。
例
If I were a bird, I would fly around the world.
「もし鳥なら、世界中を飛び回るだろうに」
仮定法はなぜ「過去形」が使われるのかと徹底的に学習したい方は、以下の記事を読んでみてください。
あとがき
今回はwouldの用法についてまとめてみました。思った以上に用法が多いのでびっくりですね。
ポイントはwouldが純粋に「過去」を表す場合と「現在」を表す場合があるという点。ここは結構英語学習の中でも難しいですね。
ぜひマスターしてwouldを使いこなしてみてくださいね。また会いましょう。
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