● こんにちは、まこちょです。
英文は、もちろん英文法のルールに基づいて作られているわけですが、時に「例外」として、そのルールの枠組みから外れてしまうことがあります。
今回ご紹介する接続詞の後ろの主語(S)と(V)の省略もその「例外」事項のうちの一つに入るかと思います。
例えば先日、ある生徒からこのような質問を受けました。
「先生、次の文は間違っていませんか?」といきなりストレートな質問です(笑)
ちょっと英文を見せてもらうとそれは次のような英文だったんです。
例
Though ill, he went to school as usual.
この英文のいったいどこが間違っていると思うのか、と生徒に聞いてみると、
「だって、先生Thoughって「従属接続詞」じゃないですか?従属接続詞は後ろに主語(S)と動詞(V)が来るはずなのに、illは形容詞です。こんな文っておかしいですよね?」
と言うことなのですが、この生徒の考え方は微塵たりとも間違っていません。
むしろ英文を作るときに、読むときに、しっかりと構造から考えているという点で非常に好感のもてる質問とその理由ですよね。
接続詞の基本は「接続詞+S+V」
たしかに接続詞は後ろに主語(S)と動詞(V)がくるというのは英文法の基本ルールです。つまり基本的には
接続詞+S+V
という形になるはずです。
接続詞の基本ルールについて学習したい方はこちらをどうぞ
www.makocho0828.net
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ところが今回の文はThoughの後ろに主語(S)と動詞(V)がなく、いきなりillが来ちゃってるんです。そりゃしっかりと英文法を学習した人からしたら「?」がつくのは当然ですよね。
これが今回お話する英文法の例外、「接続詞の後ろのSとVの省略」になります。
このS+Vの省略なのですが、実は「例外」であるにもかかわらず、最近はむしろこの「省略」された形がスタンダードになってるという、いかにも簡潔に書くのをモットーとする現代英語を象徴した形になっています。
ですから、「なんだよ~例外かよ~」なんて言わずに新たな英文法事項を身につける感じで学習すると良いでしょう。
ただしこの接続詞の後ろの主語(S)と動詞(V)の「省略」ですが、SとVであったらなんでも「省略」できるわけではありません。この「省略」にもしっかりルールがありますので、そこをしっかり理解しましょう。
省略できる主語(S)と動詞(V)の条件
重要なのは、本文と全く無関係の主語と動詞は省略できないということです。例えば
When Ken was watching TV, I came home.
「ケンがテレビを観ていたとき、私は帰宅した」
という文章ですが、whenの後ろの主語(S)、動詞(V)を省略して
× When watching TV, I came home.
とすることはできません。Kenの名前を消してしまったら、テレビを観ていた人が誰なのか、判断できないじゃないですか(笑)
そう、接続詞の後ろのS+Vが省略できるには以下の条件がなくてはなりません。
② 動詞がbe動詞
意外とクリアする条件が2つあるので厳しいんですね。ここで先ほどの生徒の英文をもう一度見てみましょう。
Though ill, he went to school as usual.
この文章、明らかにThoughの後ろに主語と動詞が省略されています。ですが先ほどの「省略」ルールをしっかり押さえていれば、Thoughの後ろの主語(S)が省略されているのは、全体の主語と同じだからと判断し、
Though he was ill, he went to school as usual.
と省略されている箇所が補えるはずです。
You must wear a seat belt while driving.
はどうでしょうか。whileは接続詞ですが、その後ろに主語(S)と動詞(V)がないですね。もちろん「省略」されているんです。ルールにしたがって補ってみると
You must wear a seat belt while you are driving.
「運転中はシートベルトを着用しておかねばなりません」
となるわけですね。
When eaten with salad, cold chicken is delicious.
この文章もwhenの後ろに主語(S)と動詞(V)がありません(eatenは過去分詞)補ってみると
When it (= cold chicken) is eaten with salad, cold chicken is delicious.
「サラダと一緒に食べると、コールドチキンは旨い」
この主語(S)と動詞(V)の「省略」に関して1つ注意ポイントがあるんです。
それは、この「省略」なのですが、あくまでも【S+be動詞】が省略されます。主語(S)【だけ】省略することはできませんので注意してください。(等位接続詞は主語(S)のみ省略されることはあります)
例
I have a pen and ( I ) don’t have a notebook.
接続詞ifの「省略」は注意!
このように従属接続詞の主語(S)と動詞(V)は条件が合えば省略することができるのですが、接続詞のなかには、ちょっと気をつけなければならない接続詞があるんです。
それが副詞節のif。
もちろんifも接続詞ですから後ろのS+Vは省略可能なのですが、このifの場合は主節の主語(S)と動詞(V)以外のものも省略されることがあるのです。
少しパターンを見てみましょう。
① if any「もしあれば」「たとえあるにしても」
例
Correct mistakes, if any.
ifの後ろにSとVがないのですが、この省略されている箇所は主節のSとVではありません。there areが省略されているんです。
Correct mistakes, if (there are) any (mistakes).
「間違いがあれば訂正しなさい」
このパターンは次のように文法問題で問われますので注意しましょう。
例
There are few, if any, mistakes in Ken’s composition.
「ケンの作文には、たとえあるにしてもほとんど間違いがない」
「たとえあるにしても」(譲歩)の場合はifの前にfew(数えられる名詞)・little(数えられない名詞)を置くことが多いことも覚えておきましょう。
これが、ifの前がfew・littleではなく、seldom・rarelyの場合は、if anyではなく、if everと表現します。
● seldom・rarely, if ever, 「たとえあるにしてもめったにない」
例
He seldom, if ever, goes to the cinema.
=Even if he ever goes to the cinema, it is rare.
「彼はたとえあるにしてもめったに映画には行かない」
② If anything 「どちらかと言えば」
例
He is, if anything, the romantic type.
=If anything, he is the romantic type.
「彼は、どちらかと言えばロマンチストだ」
これはif there is anything to sayの省略表現だと考えると良いでしょう。
③ if not 「~ではなければ」「~ではないとしても」
この表現は慣用的にit isが省略されている場合が多いです。
例
It is fine, we will start; if not, we won’t
=If it is fine, we will start: if (it is) not (fine), we won’t.
「晴れるなら、われわれは出発する。晴れなければ、出発しない」
It is dangerous, if not impossible, for you to cross the river.
=It is dangerous, if (it is) not impossible (for you to cross the river), for you to cross the river.
「あなたがその川を渡るのは、不可能でないにしても危険だ」
まとめ
さて、今回はいかがだったでしょうか。この接続詞の後ろのS+Vの省略は、慣用的なものを除いて、主節のS+V(be動詞)が省略されていることをよくつかんでおいてくださいね。
ではまた
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