この記事は
「英文中に接続詞が出てくると、その度に返り読みをしなくてはいけないので少々面倒くさいです。接続詞を前から訳すテクニックみたいなものはないんですか?」
とか考えているせっかちな英語学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
今回のテーマは英語を学習している人だったら、必ず一回は思うことなのではないでしょうか。例えば以下のような例文です。
例
Ken was talking to someone at the bar when she came in.
この英文はwhen節が文の途中から出てくる、まぁよくある英文と言ってもいいです。
接続詞のある文は『接続詞+S+V』の箇所をまず訳す、と中学英語の際に学習してしまうせいか、こういった英文もまずwhen以下を訳してから主節を訳す人が正直多いんですよね。
Ken was talking to someone at the bar (when she came in).
「(彼女が入ってきたとき)、ケンはバーで誰かと話をしていた」
ところがこの英文は返り読みを避けて「前」から訳すことが可能です。つまり
「ケンがバーで誰かと話していたその時、彼女が中に入ってきた」
としてもいいわけです。こうすると英文を後ろから前に戻る「返り読み」を回避することができ、スムーズに英文を左から右に読むことができるというわけです。
ところで、このように接続詞ありの英文を前から訳すことができるシチュエーションは実はwhenだけではありません。他にも実はバリエーションが豊富なんです。
そこで今回は接続詞を「前」から訳しおろすテクニックをすべて教えます。実はこのテクニック、単に返り読みをする必要がない、といった理由だけではなく「英文の情報の流れ」という点で、非常に理にかなっている読み方だったりします。
以下の記事を読了すると次の点であなたの英語力がグレートアップします。
▶実は英文を前から順に読むことは、英語の情報構造の観点から極めて「自然」ということがわかる
ぜひマスターしていただいて、今後の英語学習にお役立てください。
英文は左から右に読むのが極めて自然な理由
実は、英文は語順によって相手に与える情報の重要度を伝えています。
これを「情報構造」といったりして今日英文を読むときの情報の流れをつかむうえで欠くことができない便利なものなんです。
英文は読者が「よく知っている」⇒「知らない」に流れるのが基本
例えば先ほどの例文をもう一度取り上げますね。
例①
Ken was talking to someone at the bar (when she came in).
この英文はwhenを境にして2つの文が合体しているのは分かるかと思うのですが、この英文は書こうと思ったら以下のようにも表現することが可能ですよね。
例②
(When she came in), Ken was talking to someone at the bar.
そう、when節を前後に入れかえただけなのですが、実はこれだけでこの2つの文章を読んだ読者に与える「情報」の重要度がガラリと変わります。
英文はピリオドから遠いところは「誰でも知っている情報(旧情報)」を書き、ピリオドに近いところは「誰も知らない新しい情報(新情報)」を書くと、情報がスムーズに相手に伝わるようになっています。
つまり例①の英文で読者に伝えたい「本命」の箇所は「彼女が(バー)に入ってきた」ところであり、この情報はおそらく誰も知らない情報で読者に伝えたい情報ということになります。
ところが例②の場合は「彼女が(バー)に入ってきた」箇所はピリオドから離れてしまいましたね。
つまりこの部分はそれほど大事ではない情報なのです。読者のみなさんが「そんなの知っているよ!」と思わず言ってしまう程度の情報ということです。
この例②で一番読者に伝えたいホットな情報というのはKen was talking to someone at the barの部分「ケンがバーで誰かと話していた」内容です。この部分は新しい情報なので、読者がおそらく初めて知る情報のはずです。
このように実際にはただ2つの英文を入れ替えただけに過ぎないのに、相手に与える情報が変わってしまうというのは、英文を読むうえで実に興味深いポイントだと思いませんか?ただ読めばOK!というわけではないのがお分かり頂けるかと。
ちなみにこの「情報構造」については以前徹底的に記事で考察したことがあります。良かったら以下の記事に立ち寄っていただけたら幸いです。
返り読みは本来の情報の流れに「逆行」してる!?
ということは以下の英文をwhenの後ろから訳し上げるなんていう芸当は、本来の情報の流れに逆行していると言わざるを得ませんよね。
情報の流れ 旧情報 ⇒ 新情報
Ken was talking to someone at the bar (when she came in).
△「(彼女が入ってきたとき)、ケンはバーで誰かと話をしていた」
そう、今回のテーマである「接続詞を前から訳しおろしてみよう」というのは、単にテクニック的なモノではなく、英文の情報の流れを理解するうえで極めて普通なことである、というのは力説したいところですね。
英文はよほどのことがない限り、前から順に読んでいって内容がしっかり把握できるように作られています。
この点を踏まえて、以下の記事では接続詞ありの英文を前から順に読んでいくための「コツ」を具体例を挙げてご紹介します。
なお、今回の情報の流れですが、例えば「強調構文(分裂文)」のように「旧情報 ⇒ 新情報」の流れにならない構文については今回はオミットします。
英文接続詞の役に立つ訳し方一覧
まず、よく見る接続詞からご紹介します。即効性がありますのでぜひ実践投入してみてください。
when
whenはきわめてよく使われる接続詞ですよね。したがってこの接続詞を前から訳しおろす技も発達しています。
まずは以下のような形になった時は前から上手く訳せないかトライしてみましょう。
過去進行形(過去完了形、be about to)+when…
when節の前に「過去進行形」や「過去完了形」、または「be about to(まさに~するところだ)」の表現が使われている場合は、whenを and then「するとその時」と同じように訳すと上手くいきます。
例
My father was taking a bath when she came home.
△「彼女が帰って来た時、父はお風呂に入っていた」
◎「父がお風呂に入っていたその時、彼女が帰ってきた」
この文は「彼女が帰ってきた」部分が読者に伝えたい「新情報」なのですから、下の訳出の方がはるかに情報の流れがいいわけです。
例
The train was about to leave when he arrived.
△「彼が到着したとき、その電車はまさに出発しようとしていた」
◎「列車が駅をでようとしているその時に彼は着いた」
be about toはbe going toと同じ未来表現なのですが、とてつもなく直近の未来を表します。したがってwhenを挟んだ2つの文の時間差がほぼないに等しく、今回のように前から訳すことができるというわけです。
ちなみにbe about toを使った入試問題は頻出で、ぜひ押さえなければならない表現です。
例
We had just fallen asleep when the bell rang.
△「ベルが鳴ったときにちょうど寝付いた」
◎「寝付いたとたんにベルが鳴った」
Although 「~だけれども」⇒「ただし~」
Althoughは「逆接」の接続詞で「~だけれども」と学習します。譲歩の接続詞についてまとめて学習したい場合は、以下の記事を参考にしてくれれば良いでしょう。
これも文中で使われたときには、「ただし~」と訳すと良い場合がほとんどです。
例
She bought the product, though it was expensive.
△ 「その商品は高かったが、彼女は買った」
◎ 「彼女はその商品を買った、ただし高かった」
if「もし~ならば」⇒ 「~の場合だ」
みなさんのおなじみif節もうまく工夫することで「前」から訳すことができます。
例えば A if Bという形のときは「もしBならばAだろう」ではなく「AなのはBの場合だ」とするとバッチリはまります。※ただしAが「疑問文」の場合はこの限りではありません。
例
I’ll stay home if it is rainy tomorrow.
△「明日雨ならば、家にいるだろう」
◎「家にいるのは、明日雨の場合だ」
Unless「もし~でなければ」⇒「例外は~だ」
unlessはよくifにnotがついた表現として「もし~でなければ」と学習することがほとんどですが、これも文中に使われたら上手く訳しおろすことができます。
例えばA unless Bという形だったら「Aだろう、例外はBだ」とすると上手く訳せますよ。
例
You’ll miss the bus unless you walk more quickly.
△ 「もっと早く歩かなければバスに乗り遅れるよ」
◎ 「バスに乗り遅れるだろう。例外はもっと早く歩くことだ」
(例文引用:weblio英和辞典)
till (until) 「~まで」⇒「締切は~だ」
A till Bの表現は「BまでAだ」ではなく「Aだ。【締切】はBだ」と訳すクセをつけましょう。
例
Let’s wait until the rain lets up.
△「雨があがるまで待とう」
◎「待とう。【締切】雨があがる」
because「~なので」⇒「理由は~」
これは意外と使っている人が多いですよね。特に違和感なく使いこなせるのでは?
例
I’m having trouble because I’m lonely.
△「寂しくて困っている」
◎ 「困っている。理由は寂しい」
except that ~「~をのぞいて」⇒「例外は~だ」
この表現はexceptの前にカンマがついていると読みやすいのですが、そうでなくても「例外は~だ」と訳しかたを身につけておくと概ね上手くいきます。
例
He is a nice man, except that he talks too much.
△ 「彼はおしゃべりだという点を除けばいい人だ」
◎ 「彼はいい人だ。例外はおしゃべりだ」
I know nothing about her except that she is a pianist.
△「彼女については、ピアニストという以外何も知らない」
◎「彼女については何も知らない。例外は彼女はピアニストだ」
except thatとexcept forの違いについても入試頻出ですので、これを機に押さえてしまうのがいいです。
あとがき
今回は接続詞のある英文を、なるべく前から訳す方法について記事にしてみました。
今回のテーマを単なるテクニックに捉えないで、「情報の流れ」という点から前から積極的に読んでいくのは、英文を作った作者の意図をつかむうえで極めて重要です。
ぜひマスターしていただいて今後の英語学習にお役立てください。
また会いましょう。
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