この記事は
「『座る』といったら英語ではsitだと思うのですが、seatにも動詞があると聞きました。いったいseatとsitは何が違うのでしょうか?」
という疑問をもつ英語学習者に対して記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
このサイトではかなり手ごわい動詞の語法を詳しく紹介しているカテゴリがありますが、今回のseatも英語学習者にとっては苦手意識を持っているのではないでしょうか。
みなさんは「座る」を英語にしろ、と言われたら何をまず連想しますか?とりあえず中学一年生の時に学習するsitを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
もちろんSit down.「座りなさい」というフレーズを実際に学習したわけですから、「座る」動詞といったらsitでしょ!と考えることはちっともおかしくありません。というか私だって考えます(笑)
ところがですね、英語表現で「座る」といったらもう1つ超重要な語法があるんです。それが今回ご紹介するseatという動詞。
なんだよ、seatだってsitと同じような使い方をするんだろ?ただの類語じゃねーか。
とか思ってしまったそこのあなた!seatをなめてはいけません。seatの語法の複雑さはsitの比ではないんです。
そこで今回は動詞の語法として非常に危険な語法を持つseatを徹底的に掘り下げます。入試・資格試験業界(?)でも異様な人気を誇るこのseat、実際に足元をすくわれないようにここで本腰を入れて学習するのをおススメします!
以下の記事を最後までお読みいただくと、次の点であなたの英語力はグレートアップします。
▶ sitとの使い分けが容易になる
ぜひseatの語法を完璧にマスターしていただいて、逆に問題に出題されたら「カモ」にするくらい極めてしまいましょう!
seatはsitといったい何が違うのか?
seatはいったいsitとどのくらい使い方が違うのか?その点を徹底的に理解するためには、そもそも私たちにとってなじみ深いsitについてしっかりと理解していないとseatとの比較ができませんよね?
そこでまずはsitの基本的な使い方をざっくり説明します。
sitの使い方をまずはおさらい
【sitの基本的な語法】
- ①自動詞で使う
- ②意味は「座っている」
- ③後ろにdownがつくと「状態」から「動作」に変えられる
sitについて押さえるべきなのはこの3点。seatと違い極めてシンプルな使い方ができるんです。自動詞ですのでsitの後ろに名詞を置かないのがポイントでしょうか。
また、③のdownの有無によって何が変わるのか?もよく問われるのですが、sitは単独で使うと「状態」を表し「~に座っている」という意味になります。sitを「座る(立っている状態から座る)」の動作動詞で使う場合はsit downという形で使うわけです。
学校で先生がSit down, please.というのは、みなさんが「立っている」からですね。
例
Please sit down.
「おかけになってください」(動作)
例
I sat on the chair.
「私は椅子に座っていた」(状態)
とまぁ、些細な語法を注意すればsitは比較的理解しやすい動詞であることがわかりますよね。
ところがseatはそうはいきません。今回のテーマの核心に突入しますが、まずみなさんの中でsit = seatと頭の中で決めつけてしまっている方がもしいらっしゃいましたら、その考えを少し見直す必要がありますね。
seatはそもそも「座る」ではない
まずいきなりで恐縮なのですが、seatの意味は「座る」ではありません。この時点で「え!そうなの?」と思った方もいるのではないでしょうか。
【seatの使い方①】
- ① seatの意味は「座らせる」
- ② 他動詞である
なんとseatは「座る」じゃなくて「座らせる」の意味なんですね。全然意味が違いますよね。
しかもseatは他動詞が基本です。つまり形としては以下のように使うのがデフォなんですね。
A seat B
「AはBを座らせる」
※AとBは名詞
ということはここでいうAとBのうち、座るのはBのほうというわけですね。「Aが座る」のではないのです。これはA sit「Aが座っている」とえらい違いですよね。
例
I seated him on the chair.
「私は、椅子に彼を座らせた」
⇒ 座ったのはhim
ということは、seatを使ったら主語(S)になったものは永遠に「座れ」ないのか?というとそんなことはありません。ここでseatがsitとは違う語法が炸裂するわけです(大げさだなぁ)。
seatを使って主語(S)が「座る・座っている」には?
seatは「座らせる」だから、いつまでたっても「主語が座れない」と思った方、そんなことはまったくありません。
S seatの形で主語(S)を座らせる方法はいくつかあり、この点が受験英語・資格試験等でよく問われるポイントになります。
S seatで「Sが座る」の表現にする方法:再帰代名詞を使う
まず最もポピュラーなのが、再帰代名詞を使って表現する方法。再帰代名詞はoneselfを使う用法なのですが、これを動詞の後ろにおいて
S seat oneself
「Sは自分自身を座らせる」
と表現します。このとき再帰代名詞は主語と同じ種類になることに注意しましょう。
再帰代名詞の使い方については以下の記事で詳しくまとめています。非常に使える用法ですのでぜひモノにしましょう!
例
He seated himself on the sofa.
「彼は自分自身をソファに座らせた ⇒ 彼はソファに座った」
=He sat down on the sofa.
この再帰代名詞を使ったseatは「動作」であり「座る」です。したがってsit downと同じ意味になることは覚えておきましょう。
seatを名詞で使って「座る」表現にする
またこの「座る」という意味の動作表現ですが、実はseatを「名詞」で使うことによっても同じ意味にすることができます。have[take] a seatで「座る」になります。つまり以下のように書き換えることが可能なんですね。
例「座ってください」
Please sit down.
= Please seat yourself.
= Please have [take] a seat.
どれも入試頻出ですのでしっかり押さえましょう!
seatを使って「座っている」の表現にする
S seatで「Sが座る」と表現できることはおわかりいただけたと思いますが「Sが座っている」と状態を表す表現はできないの?と疑問に思った方もいらっしゃると思いますが
実はできるんです。
それはseatを「受動態」で使う方法です。seatは他動詞ですから当然「受動態(受け身)」の表現が可能です。例えば
例
They seat me.
「彼らが私を座らせる」
この文を受動態にしてみましょう。すると
I am seated by them.
となります。by themの部分は取ることができますので
I am seated.
「私は座っている」(状態)
と表現することができるというわけです。受動態は当たり前ですが、be動詞を使うので状態に分類されるというわけですね。
もちろんbe動詞の代わりにremain / lookといった動詞も使うことができます。
受動態の作り方・用法が今ひとつよくわからないんだけど?と思ってしまった方は以下の記事を確認してみましょう!
このbe seatedのポイントを挙げるとすると、「seatedの後ろに名詞がなくなる」という点です。受動態は動詞の後ろの名詞を主語にするものですから当然といえば当然ですね。
ですがこの点をしっかり理解していると次のような入試問題は瞬殺できるということに気づいてほしいんです。
【練習】次の( )に適切なものを入れなさい。
Please remain ( ) for a few minutes.
- sat
- seated
- seating
分かりましたか?この英文はremainという動詞が使われていますので( )に動詞はもう入りません。したがってこの時点で1.のsatは違います。
3.のseatingを使うと、seatの他動詞の性質が生きていますから後ろに名詞がなくてはいけませんよね?そう、この文はbe動詞の代わりにremainを使った受動態表現だと分かるわけです。受動態なら後ろに名詞がなくても問題ありません。答えは2.
seatの語法:まとめ
さて、今回はseatとsitの違いについて、またseatの語法について徹底的に解説しましたがいかがでしたでしょうか。
seatの語法については入試でも頻出ですし、よく質問されます。sit=seatと考えている人ほど、この落とし穴によくはまってしまいますので注意しましょう。seatの語法についてまとめると
【seatの語法まとめ】
- ① 意味「座らせる」
- ② 他動詞
- ③ S seat oneself = S sit down「Sが座る(動作)」
- ④ S is seated=S sit「Sが座っている(状態)」
になります。sitよりもはるかに複雑な語法を持っていることをしっかりと押さえてくださいね!
また会いましょう。
動詞の語法についてしっかり学習したい人は以下の記事をクリックしてみてください。
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