● こんにちはまこちょです。
みなさんは「再帰代名詞」というものをご存知でしょうか。そうmyselfとかourselvesとかいう形をした「代名詞」のことです。
この再帰代名詞、じつは英語学習者にとっては非常に使いどころに悩んでしまう人も多いんです。まず「使いどころがよく分からない」のがその理由として多いですね。
先日もある生徒から以下のような質問を受けたばかりです。
「先生、この前学校のテストで『私たちはそこで楽しんだ』という英作文が出たんです。だからWe enjoyed there.って書いたんですが思いっきりバツをもらったんですけど。いったいどこがおかしいっていうんですか!」
なるほど、たしかにこの英文は日本文を忠実に再現していて一見非の打ちどころがない英文に見えますよね。
ですが、この形を書いてしまう人は今回のテーマ「再帰代名詞」がおそらく苦手なのではないかと考えます。
そこで今回は「再帰代名詞」について徹底レクチャー!もう二度と間違えることがなくなります。ぜひマスターして明日からの英語学習にお役立てください。
再帰代名詞ってなに?
まず、「再帰代名詞」について基本的なことをお話します。
再帰代名詞は、人称代名詞の所有格または目的格に 「 – self ( 複数の場合は – selves ) 」 をつけた形になり、「 ~ 自身 」 という意味を表します。
使い方はいろいろあり、一言で「再帰代名詞」といっても各用法を覚えなければなりません。ここでは基本的な「再帰代名詞」の用法をまずは押さえましょう。
① 強調表現
まずはコレが一番ポピュラーな使い方になります。主語、目的語、補語のすぐ後ろ、または文末に置いて「強調」表現にすることができます。
例
I myself saw it.
「私は自分でそれを見たのです」
このとき、再帰代名詞と前の名詞が「同格」の関係になっていることがポイント。
例
They went there themselves.
「彼らは自らそこへ行った」
この再帰代名詞の「強調表現」は当たり前ですが、前に出てくる名詞をもう一度あえて-self(-selves)の形で繰り返すことによって「強調」している訳ですが、以下の状況のときにはこの前の名詞が【ない】こともあるので注意が必要です。
一般的には接続詞のandやas、but、except、including、thanの後の名詞に再帰代名詞を使う時に「省略」が起こるのは覚えておきましょう。
例
Did your parents and (you) yourselves go there?
「 君たちの両親と君たち(自身)がそこへ行ったのですか」
No one knows more about it than ( I ) myself.
「だれもそれについては私(自身)より知っている者はいない」
② 前置詞 + 再帰代名詞 の慣用表現
再帰代名詞は前置詞とセットになって慣用表現(熟語)を作ることがあります。主要な表現を覚えましょう。
例
● by oneself :「独力で」
I did it by myself.
「私は 独力で それをやった」
● in itself:「それ自体」
That in itself was unbelievable happening to me.
「そのこと自体が私には信じられない出来事でした」
● for oneself:「自分で」
I think you should settle this issue for yourself.
「この問題はあなたが自分で解決するべきだと思います」
このように再帰代名詞はいろいろな使い方ができるのですが、一番重要なのが、以下に書く「再帰代名詞を目的語(O)として使う」場合です。
再帰代名詞を動詞の目的語で使う場合
再帰代名詞は動詞の「目的語(O)」にすることができます、と書くとなんか簡単そうに聞こえるじゃないですか?
ところがここでちょっとした疑問が。なぜ動詞の目的語で使ったとき【わざわざ】再帰代名詞で表現しなければならないのでしょうか。もっと言うと普通の「代名詞」ではだめなのでしょうか?例えば
She introduced herself to him.
「彼女は彼に自己紹介しました」
この英文はintroduceの目的語(O)に再帰代名詞herselfが使われているのですが、ここの箇所をherで表現したら間違いなのでしょうか。たとえばこんな風に。
? She introduced her to him.
この点がしっかり理解できると、「再帰代名詞を目的語に取る動詞」を、単に暗記事項として覚えるのではなく理詰めで分かることができるようになります。ついでに先ほどの生徒の質問にも瞬殺で答えることができるようになるでしょう。
introduceの文型はSVO
introduceという動詞はSVOの第3文型を取ります。これは私たちが決めているのではなく、動詞がどんな文型をとるのかは動詞によって決まっているのがポイント。
ところでみなさんはSVOの【絶対ルール】を覚えているでしょうか。
そう、SVOの第3文型はS=Oとなってはいけないのです。ここはSVCとSVOの違いを考えるうえで非常に重要なポイントでしたね。
SVCとSVOの違いがよく分からない!という方はこちらの記事へどうぞ
www.makocho0828.net
ところがこの英文ではintroduceの後ろにノーマルな代名詞を置いてしまうとShe = herとなってしまい、SVOのルールに反してしまうことになります。したがってintroduceの後ろには主語と同じ目的語を置けないことになるわけです。ですが、そうすると困ったことが起きました。
「じゃあ、introduceをつかったら『自分を紹介する(自己紹介する)』って永遠に表現できないのか??」
って疑問に思う英語学習者がいても全然不思議じゃないですね。当然ですよ。
そうすると表現上非常に不自由になってしまいますので、ある条件を作ったんです。それが「再帰代名詞を使ったらS=Oの関係になってもいい」という特殊ルール。苦肉の策だったんでしょうね(笑)
そこで生まれたのが、主語と目的語が「=」になってしまうSVO表現は再帰代名詞を使うようになった真相です。
そうすると以下の例文に再帰代名詞が使われている理由もあっさり分かりますよね。
例
Sandy looked at herself in an old mirror.
「サンディーは古い鏡に映った自分を見た。」
Jim’s father killed himself resulting from depression last year.
「ジムの父親は昨年うつ病で自殺しました」
※ killはSVO文型
以上の理屈をもとにして代表的な再帰代名詞を目的語(O)に取る代表的な動詞を覚えましょう。要するにこれらの動詞はS=Oになりやすい動詞というわけですね。
代表的な再帰代名詞を伴う動詞
● absent oneself 「欠席する」
● pride oneself on 「自慢する」
● avail oneself of 「利用する」
● amuse oneself 「面白く遊ぶ」
● conceal oneself 「隠れる」
● content oneself 「満足する」
● enjoy oneself「愉快に過ごす」
● excuse oneself 「弁解する」
● seat oneself「すわる」
ところで先ほどの生徒の質問ですが、We enjoyed there.がなぜ間違いなのかもうお分かりでしょうか。
例えばenjoyは他動詞ですので、後ろに名詞を『必ず』置かなければなりません。ところがthereは「副詞」で名詞の代わりに使えません。つまりこの文は目的語(O)がないんです。
We enjoyed →Oなし there.
例えばこの英文が「私たちはそこでテニスを楽しんだ」ならみなさんはあっさりクリアすると思うんです。「テニス」という目的語に置けそうな語句があるからね。
We enjoyed tennis there.
ところが「私たちはそこで楽しんだ」という英作文をする場合、この日本文に目的語にあたる名詞がないんですね。じゃあその箇所を無視して書いていいのか?という発想は日本語発想です。何度も言いますが、enjoyがSVO文型を取る「他動詞」であることは変えられない事実なんです。
そこで再帰代名詞の出番です。目的語の箇所に再帰代名詞を置いて
We enjoyed ourselves there.
これでenjoy他動詞問題(?)をクリア。意味は
「私たちはそこで私たち自身を楽しませた」
つまり「私たちはそこで楽しんだ」となるわけです!
まとめ
さて今回はいかがだったでしょうか意外に再帰代名詞の用法というのは日本語にはない発想ですので戸惑うことも多いんです。
ですがしっかりと「文型」のルールを守るために再帰代名詞が使われてるということが分かるとだいぶ理解がすすむでしょう。
ぜひモノにしてみてくださいね。最後にちょっとクイズ。この英文の登場人物は何人?
She introduced her to him.
答えは分かりましたか?答えは3人。introduceの目的語がherdselfではなくherになってるということはshe≠herということを意味します。
つまり別人ということが分かるわけですね。
ではまた
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