この記事は

「先生、前置詞の後ろは名詞(句・節)が来るんですよね?ところが先日、前置詞の後ろに前置詞がくる形を見たんです!嘘じゃないんです、ありゃ何ですか?」
と、まるでどえらいものを見てしまったかのような気持がしている(?)英語学習者に向けて記事を書いています。
● みなさんこんにちは、まこちょです。
英文を毎日毎日読んでいると、時としてびっくりするような形に遭遇することがあるもの。
今回ご紹介するのもそう、意味的には違和感なく英文解釈できるのですが、冷静に考えてみるとこれって変じゃね??という形が存在するんです。
そう、それが「二重前置詞」というもの。
それが何か?とか思わないでください。前置詞の後ろというのは通常、名詞(句・節)が来るのが基本ルールです。つまり形的には「前置詞+名詞(句・節)」になるわけですね。

英文中の名詞には役割がある!以下の記事で文中の名詞の使い方がバッチリ学習できます!

ところがこの二重前置詞というのはそのネーミングからでもお分かりの通り、前置詞が連続して2回続くんです。つまり
前置詞+前置詞+名詞
という形になるんですね。
そんな馬鹿な!?と思った方もいるかと思うのですが実際にあるから怖い。これまで律儀に(?)前置詞+名詞だ、と基本ルールを身につけていた英語学習者にとってはまさに寝耳に水の表現なわけです。
しかもこの用法、一部の英文法マニアにしか通用しないような、受験には全く関係ない知識ならともかく、実は大学入試問題にも頻繁に登場する、結構重要な表現だったりするわけです。
そこで今回はこの二重前置詞について徹底解説!どのような前置詞が後ろにもう1つ前置詞を取るのかを例文を交えてご紹介いたします。
以下の記事を最後までお読みください。次の点であなたの英語力は向上してくれるでしょう。
▶二重前置詞になる前置詞はある程度種類が限られていることが分かる
ぜひマスターしていただいて今後のあなたの英語力にお役立てください。
二重前置詞とはいったいどういうものか
まずは、二重前置詞というのはいったいどのように英文中に使われるのかをご覧ください。
例
Our cat jumped out from behind the table.
「猫がテーブルの後ろから飛び出してきた」
例
Those birds have come from over the sea.
「あの鳥たちは海の向こうからやってきた」
この例文ですが、fromもbehindもoverも「前置詞」です。つまり「前置詞+前置詞+名詞」の形になっているのですね。
意味的にはfrom behind~で「~の後ろから」from over~「~の向こうから」と訳し、それほど違和感を感じませんが、冷静に見ると前置詞+前置詞が連続で使われているのはおかしいですよね。
この二重前置詞というのは要するに前置詞+名詞の前置詞句をさらに前置詞でまとめるという用法です。イメージ的には
前置詞+(前置詞+名詞)
と考えると良いでしょう。
二重前置詞を取る前置詞は限られている
この二重前置詞ですが、前置詞ならば何でもこの形を取れるというわけではありません。ある程度、前置詞の種類は限られているんです。
具体的には「~から」を表すfromやsince、「~まで」を表すtillやuntilなどが代表例です。少し例文で慣れておくとよいかと。
- from behind ( ~ の後ろから )
- from among ( ~ の中から )
- from under ( ~ の下から )
- since before ( ~ 以前から今まで )
- till after ( ~ の後まで )
- until after ( ~ の後まで )
などがあります。結構ありますよね(笑)まずはfrom+前置詞+名詞のパターンです。
例 from above~「~の上から」
I glanced at the boy from above the book I was reading.
「私は読んでいた本から(視線を上げて)その男の子をちらっと見た」
例 from among~「~の中から」
She chose this from among a lot of options.
「私はたくさんの選択肢からこれを選んだ」
他にもfrom under~「~の下から」などと合わせてfrom+前置詞+名詞のパターンをしっかりと会得しておくと良いでしょう。中には以下のようなパンチが効いた表現もあります。
例 over to across from ~「~の向かいまで 」
She pushed the television over to across from her desk.
「彼女はテレビを押しながら、自分の机の向かいまで移動させた」
続いてsinceですが、since before~「~以前から今まで」の用法が頻出です。
例 since before「~する前から」
He was taking medicine since before being hospitalized.
「入院する前から彼は薬を服用中であった」
もちろんbeforeには前置詞だけではなく接続詞の用法もありますのでbeforeの後ろには文が来る場合もあります。ですが、before節が全体で「副詞節」になりますので、これもsince +副詞という形になるんですね。
例
I have led our people since before you were born.
「あなたが生まれる前から民間を指導してきたよ」
till / until の二重否定は、後ろにafterなどの前置詞が続くことが多いです。
例 till / until after「~の後まで」
I had to wait for him till after the meeting.
「会議の後まで彼を待たねばならなかった」
例
I’m inviting some friends over this afternoon. Don’t come back till after five.
「今日の午後は友だちを家に招待しているの。5時過ぎまでは帰宅しないでね」
二重前置詞の問題を解いてみる
ここで二重前置詞はどういった感じで大学入試や資格試験に出題されるのか確認してみましょう。この前置詞+前置詞+名詞の用法を知らないとなかなか解答するのが難しいのではないでしょうか。
【問題】
A was chosen from ( ) hundreds of applicants.
- despite
- among
- about
- between
選択肢はすべて前置詞なのですが、なんと空欄の前もfromで前置詞になっています。ここで今回の形をピンときて欲しいですね。これが二重前置詞の問題というわけです。
正解は②のamong。from among~で「~の中から」と言った意味です。
二重前置詞についてのまとめ:前置詞の後に名詞がくるとは限りません。
今回のこの二重前置詞が、なぜ私たちにとって違和感バリバリなのか?それはもちろん、私たちはSVOCの5文型、つまり文の成り立ちについて学習する際に、「前置詞の後ろは名詞を置く」と口を酸っぱくして教わるからですよね。
もちろん「前置詞+名詞」の形は英文法において極めて重要な基本形態です。したがって今回の二重前置詞は、この基本ルールからすれば「例外」的な事項であることは間違いありません。
ですが、実際に英文に触れていると、前置詞の後ろに名詞が来ていないパターンなど、実は腐るほど出てきます。例えば次の例を見てください。
例
I gave him up for dead.
「私は,彼が死んだものとあきらめた」
この英文ですが前置詞の後ろに置いてあるのはdead「死んでいる」の形容詞です。
例
I take it for granted that I’m such a great pilot.
「当然のことながら私は上手なパイロットだ」
take ~ for granted「~を当然のことと思う」で、やはりgrantedは「過去分詞」にもかかわらず前置詞forの後ろに置いちゃっていますよね。
このように実際には、前置詞の後ろに形容詞・分詞がくるなんて日常茶飯事なのです。
in short「要するに」、in general「概して」などの表現は入試では頻出ですが、やはりshort や general などの「形容詞」が使われています。
辞書ではこれらの単語を名詞として扱っていますが、私は日本人がで理解しやすいように作られた便法だと考えています。
その中でも特に前置詞として特異なのが、今回ご紹介したfromであり前置詞の中でも例外的なものだと考えられます。
例えば前置詞fromは後ろに前置詞+名詞だけではなく、thereやhereなどの「副詞」だって置くことができますからね。
例
Get away from here.
「ここから立ち去れ」
ちなみにこのhere / thereも辞書などでは「名詞」扱いとして紹介されていますが、これも便宜上のものと私は考えています。here / thereなんてしまいには他動詞の目的語として使ったりもしますからね。
例
I will finally reach there.
「私はようやくそこに辿り着く」
reachは英語学習的には「他動詞」として学習するはずですが、後ろにはthereしかないわけです。これだって十分違和感バリバリですよね。
私が、今回の二重前置詞についてまとめるのはこうです。
前置詞の後に名詞以外のものがくる場合のパターンは限られているとも言えます。
前置詞の後は名詞というのはもちろん大切な原則です。ですが実際には例外的なパターンは非常に多いのです。
ですが前置詞の後に名詞以外のものがくる場合のパターンは限られています。したがって、前置詞+名詞の形を基本として、今回の二重前置詞はあくまでも例外的な事項として【柔軟】に考えたほうが良いのではないでしょうか。
なんせ前置詞+名詞の「前置詞」部分が消えちゃっているパターンだってあるくらいですからね(笑)

要は、英文をスラスラ読めるかどうか、が大事ですから。
また、会いましょう。
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