この記事は
「『助動詞』って1つの助動詞に複数の意味があったりして、今一つ使いどころがよく分かりません。どうやって学習をしていったらよいでしょうか?」
と疑問に思っている英語学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英文法の単元に「助動詞」というものがありますが、この単元、意外に英語学習者に忌み嫌われています。その理由として
- 助動詞は暗記をしなくてはならない箇所が多すぎる
- 用法が複数ある助動詞がある(というか全部複数用法あり)
- 助動詞の過去形が過去形にならない時がある
とざっと挙げただけでも助動詞には厄介な学習ポイントがたくさんあり、思わず「どれか一つにしてくれよ!」と叫びたくなってしまう単元、それが助動詞という文法単元なんですね。
つまり一言でいうと面倒くさいんですね、この単元。
しかも助動詞の単元は、英文法学習でも比較的前半に学習するので、この単元を学習したあとに英文法学習に対するテンションがガタ落ちする人が多いんです。
そこで今回は助動詞の学習方法の「手順」について説明しようかなと。私が実際に授業で生徒たちに教える手順と全く同じですので、それなりに学習効率を高めることが可能です。
助動詞の学習方法について悩んでいる、もしくは助動詞の勉強が嫌になってしまった、という人はぜひ以下の記事を参考にしていただけると幸いです。
助動詞学習は手順が命!これが助動詞の勉強方法だ
まず助動詞は意外と基礎的な箇所を間違えてしまうことが多いので、中学時代の復習もかねて以下の点をしっかり確認することからスタートしましょう。
①まずは助動詞の基本的な使い方から
【助動詞の基礎】
- 助動詞+動詞の原形(V)
- 【否定の形】助動詞+not + 動詞の原形(V)
- 【疑問文の形】助動詞+S+動詞の原形(V)~?
例
He can play baseball.
He can’t play baseball.
Can he play baseball?
どれも助動詞の基本事項なのですが、この点は大学入試・TOEICなどで実は頻出します。
特に否定文は助動詞+notの形になるという点と、助動詞の後ろの動詞は必ず「原形」だ、という点はおそらく永遠に出題されるのでは?と思えるほど頻出度合いが高いですね。
助動詞+助動詞の形はNG
助動詞の基礎は簡単な人には簡単でしょうが、その時に意識的に触れておいてほしい箇所があります。
それが「助動詞+助動詞」の問題。
英文法のルールとして助動詞は2回連続で使うことができません。例えば「~できるだろう」という表現は以下のように表現してはダメ、ということです。
例 「明日、彼女は京都に行けるだろう」
× She will can go to Kyoto tomorrow.
ではどうするかというと助動詞の一方を変えてしまえばいいんです。例えばcanでしたらbe able toに書き換えて表現できますね。
◎ She will be able to go to Kyoto tomorrow.
You will be able to work in Paris.
「きっとパリで働けるよ」
(引用:weblio英和辞典)
この点は助動詞の学習としては基礎に分類されますが、きわめて頻出度合いが高いものです。しっかりと理解すると同時に、類似のパターンもしっかり押さえておくと良いでしょう。
【その他の助動詞+助動詞の変形パターン】
●「~しなければならないだろう」
⇒ will have to(× will must)
●「~しなければならないかもしれない」
⇒ may have to(× may have to)
② can / must / may を学習する
助動詞の基本を確認し終わったら、いよいよ各助動詞の使い方を学習するわけですが、勉強するにあたってまず以下のポイントをしっかり押さえておくことが重要です。それは
ということ。
なぜこのようなことを言うのかというと、中学校で初めて助動詞を学習するときに、例えばcanだったら「~できる」、mustだったら「~しなければならない」と、1助動詞につき1意味として学習しがちだからです。
ところが実際は、助動詞は「複数」の意味を持つものがほとんどですので、高校英語を学習すると、まずこの点で助動詞にギャップを感じることが多いんです。
助動詞を学習する際には「意味は1つだけじゃない」という点をしっかり噛みしめてから開始しましょう。そうすると挫折率をほんのわずか抑えることができます(笑)
can
助動詞を学習するときのトップバッターはcanから。なぜってこれほど助動詞として有名な(?)言葉もないからです。
canを学習するときに特に注目したい学習ポイントはcanの過去形couldとwas(were) able toの違いについてです。ここはcanの最大の山場と言って良いでしょう。
この時おそらく初めて「仮定法過去を表すcould」の用法を学習するかと思うのですが、悲しいかな、この時点では高校1年生はまだ「仮定法」の存在を知らないことが多いのです。
したがってcouldを単にcanの「過去形」と認識してもある意味当然、「え?couldとwas(were) able toって違うの?」と疑問に思ったとしてもそれは生徒のせいじゃないですね。
ですからここは以下の記事をしっかりと読み込んでほしいです。きっと今まで思いもしなかった助動詞の奥深さを感じることができます。当ブログのなかでも屈指の自信作になっています。
仮定法に助動詞の過去形が使われるという点についての記事はこちらです。
must
続いてmustを学習します。この助動詞は中学英語でも人気ですが、高校に入ってからも大人気です(笑)
例えば中学英語のmustと言ったら、must=have toの関係について学習しますが、この点ですら高校英語では使い分けをしなければいけないんです。
mustとhave toの違いについては英作文で役に立ちます。ぜひ楽しみながら学習しましょう。
またmustを学習したところで、先ほどのcanをもう一度確認し、
must 「~にちがいない」⇔ can’t「~のはずがない」
の関係をしっかりと確認することも忘れずに!
【mustでぜひ押さえたいその他のポイント】
① You must~で「ぜひ~してね」の用法がある
例
You must visit Kyoto when you come to Japan.
「日本に来たら京都にはぜひ行ってね」
② mustは過去形がないので「時制の一致」を受けない
例
I think they must study English harder.
「彼らはもっと一生懸命英語を学習しなければならないと思う」
↓
I thought they must study English harder.
「彼らはもっと一生懸命英語を学習しなければならないと思った」
時制の一致については以下の記事を参照してください。
may
mayについてぜひ押さえてほしいポイントは、まずmayとmightの違いについてです。
よくmightはmayの「過去形」と捉えられる場合が多いのですが、現行の英語では、mightはmayとは独立した一つの助動詞としてとらえた方が理解しやすい側面を持っています。
ではmayとmightは何が違うのかというと「実現可能性(確率)」で、mayはほぼwillと同じくらい(実現可能性80%以上)であるのに対して、mightになると実現可能性が20%以下になるのが最大の特徴になります。
例
We may have some rain tomorrow.
「明日はいくらか雨が降るかもしれません」⇒ 可能性がかなり高い
He might come to the party with his wife.
「彼は奥さんと一緒にパーティに来るかもしれません」⇒ 可能性がかなり低い
【mayで注意すべきポイント】
① You may~で「~してもよい」の意味を表すのはまれ
⇒ You may~は「~したまえ」の意で上司などが上から目線でいう時に使う
② mayが「~してもよい」の意味になるときは、May I~?「~してもよいですか」の疑問文の時ぐらいなもの。通常は「かもしれない」と訳す場合がほとんど。
③ may well 「~するのは当然だ」「おそらく~だろう」などの熟語表現が豊富
mayについて具体的に学習したい人は以下の記事がおススメ
③ will とshallについての学習
can / must / mayが終了したら、続いてはwillとshallについて学習しましょう。特にwillは要注意。
will=「未来」を表す助動詞を信じて疑わない人は、willには「未来」用法だけじゃなく、シャレにならないくらい用法が多いということを感じるかもしれません。
willの用法はどのようなものがあるのか知りたい方は以下の記事を見てみましょう。
またshallについての学習はwillの「意志」用法との違いをしっかり意識することが重要になります。「運命」のshall?何だそりゃ?と思ってしまった人は以下の記事がおススメです。
④ needについての学習ポイント
needを学習するときに特に注意したいポイントはneedは「助動詞」だけではなくて「一般動詞」のneedがあるというところです。もちろんそれぞれ使い方が異なりますので、それを利用した入試問題が頻出します。
ワンポイントアドバイスとして助動詞のneedはcanと使い方が一緒です。
したがって助動詞のcanの否定文の形はcan not だから、助動詞のneedもneed notという否定の形になるはずだ、というふうに、常にみなさんにとって身近な助動詞と照らし合わせてneedを学習するのが効率よく身につけるためのコツです。
助動詞のneedと一般動詞needの違いは絶対に押さえよう!具体的なコツはこちら
ちなみに一般動詞のneedは後ろにto不定詞を伴うのですが、これがneed ~ingと動名詞が来る形もあります。
非常によく問われる箇所なのですが、今回は助動詞の学習手順についてなので、残念ながらオミットします。
それでもneed to / need ~ingの違いについて触れたい人は以下の記事を読んでみてください。
⑤ should / ought to / had betterの学習方法について
shouldは「~すべきだ」という意味としてとらえている人は多いと思うのですが、ちょっと足りません。shouldには「~はずだ」という意味があることをしっかりと押さえましょう。
またshouldには書き換えとしてought toという表現がありますが、ought toの語法は要注意。極めて頻出度合いが高いのでここにまとめておきますね。
【ought の語法】
- 必ずought toで使う
- 否定の形はought not to
- 疑問文の形はOught S to V~?
例
Ought he to go there?
「彼は、そこに行くべきですか」
と、ここまで学習したら最後にshouldとought toの微妙な違いを学習すれば完璧ですね。
shouldとought toは完璧に「=」ではありません。それを徹底的に解説した記事が以下になります。
had better「~した方がいい」
had better「~した方がいい」の表現について押さえておきたいポイントは、何はともあれhad betterは2語で1語の助動詞であるところです。
したがってhad betterもcanなどと並べて「比較」しながら学習すると効果的です。
had betterのおさえるべきポイントは以下の通り
【had betterのポイント】
- 2語で1語の助動詞
- had better + 動詞の原形
- 否定の形はhad better not「~しない方がいい」
また、盲点的ポイントとしてhad betterと同じように「2語以上で1語の助動詞と同じ」になる【仲間】を押さえておくと良いでしょう。
【had betterの仲間】
- would rather 「むしろ~したい」
- may well 「~するのも当然だ・おそらく~だろう」
had betterやmustなど「義務」を表す助動詞についてまとめたい人は以下の記事を熟読してみてください。
助動詞+have+過去分詞の表現について
最後に助動詞 have 過去分詞について学習します。この形は苦手にしている英語学習者も多く「過去推量」と呼ばれています。
ここでピンと来た人がいるかもしれません。例えばcanですが、canの過去形と言ったらみなさんもおなじみ、couldかwas(were) able toという形で表現します。
ところがcanは後ろにhave+過去分詞をつけて表現する「【過去】推量」という表現があるんですね。そう、実は助動詞の過去形は「2種類ある」というのが非常に重要なポイントです。
例えばcanで言うと
【canの過去形】
① canの意味が「できる」の場合
⇒ could / was(were) able to
② canの意味が「はずがない」の場合
⇒ can’t have 過去分詞
と意味によって過去形の形が変わってしまうというのは、実は助動詞学習項目で非常に重要な点であることを理解しましょう。
例
She can’t be over thirty.
「彼女は30歳以上のはずがない」
She can’t have been over thirty.
「彼女は30歳以上であったはずがない」
助動詞の過去形の形は2種類あるということを、具体的に学習できる記事がこちらになります
あとがき
今回は助動詞の学習手順について記事にしてみました。
助動詞ははっきりいって英文法単元のなかでも断トツに「暗記系」が多く、そのため毛嫌いしている人が多いジャンルではあります。
ですが助動詞は学習手順を考えて勉強すると驚くほど効率がよくなります。ぜひ当記事を参考にしてもらって、助動詞の学習方法を模索していただければ幸いです。
また会いましょう。
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