● こんにちは、まこちょです。
今回のテーマは、やはり英語をたしなむ人(?)は一度くらい疑問に思うところじゃないでしょうか。ちなみに私は高校時代、この点はよく考えていましたよ。
そう、to不定詞と動名詞~ingの違いについてです。って書くとなぁんだって思うじゃないですか。
たしかに当ブログでもこの2つのニュアンスの違いというのは過去何回か触れてはいます。以下の記事などはそうですね。
参考までに
今回のテーマもこの2つの文法単元がかかわっているのですが、確かに疑問に思っても当然だと思うんですよね。先日もある生徒から質問を受けましたから。
「先生、It is easy to study English.ってIt is easy studying English.って表現したらダメなんスかね?」
そうですよね、to do~= doing~と学習している生徒からしたら、この2つの文は「同じ文」に見えますからね。
そこで今回は、この形式主語構文のto doは、果たしていつでもdoingに書き換えることは可能なのか?を徹底解説したいと思います。
実は意外に制約のあるこのto不定詞と動名詞の書き換え、ぜひマスターして今後の英語学習にお役立てください。
不定詞と動名詞の違いは「過去」「未来」の違いだけではない
to不定詞と動名詞~ingは両方とも「~すること」と訳せるのは事実ですが、実際にはニュアンスに違いがあるのはみなさんもご存知かと思うんです。
例えばremember to do / doingの違いなどは超有名ですね。
例①
I remember returning the book to Mike.
動名詞は「【過去に】~したこと」のニュアンス。したがってこの文の意味は「その本をマイクに【返したこと】を覚えている」と訳します。ところがこれが下のようにto不定詞を使うと、
例②
I must remember to write to her.
to不定詞は「【これから】~すること」つまり未来志向を表すようになり、「私はこれから彼女に手紙を書かなくてはならない → 私は忘れずに手紙を書かなければならない」と表現することになります。
ところがto不定詞と動名詞の違いはそれだけじゃないんです。余りにもこの「過去志向」「未来志向」のニュアンスの点が強調されるせいか、他の点での違いがイマイチ浸透していない傾向がみられるんですよね。
そしてこの違いがIt is ~ to do はIt is ~doingに変えることができるかどうかを教えてくれるんです。
不定詞と動名詞の細かい違い
実はto不定詞と動名詞の違いは他にもいろいろあります。ちょっとまとめてみましょう。
【to不定詞】
① 未来志向
② 主観性
③ 具体化していない可能性の話
【動名詞~ing】
① 過去志向
② 客観性(一般論)
③ 既成事実
④ 体験済み
うーん、to不定詞と動名詞って意外に違いがあるんですね。ちょっと例文を見ながら確認してみましょう。例えば「朝食を抜くのはよくない」の文ですが、次の2つの書き方が考えられます。
「朝食を抜くのはよくないわよ」
例①
It isn’t good skipping breakfast .
例②
It isn’t good to skip breakfast .
ちょっとこの2つの文のニュアンスの違いを本気で考えてみましょう。
動名詞=「一般論」「既成事実」
例①はIt is ~ doingの形で書いているのですが、これはskipping以下の内容が客観性(一般論)が強いことを表しています。つまりこの文章が持っているニュアンスは、
It isn’t good skipping breakfast .
「【世間一般的に】朝食を抜くのはよくないわよ」
という意味になるんです。「朝食を抜くのはよくない」のは、この文を書いた人が個人的に思っているのではなく、「世間的に」「常識的に」「誰に聞いても」といった、第三者からみて「客観的」である内容であることを表しているからなんですね。
ですからこのIt is ~doingの形で使う場合は特徴があり、主に以下のポイントで使われることが多いんです。
It is no use crying over the spilt milk.はなぜいつも動名詞で表現するのか
It is no use crying over the spilt milk.「覆水盆に帰らず」はことわざなのですが、このときなぜto不定詞ではなく~ingの動名詞を使うのかというと、crying over the spilt milk「こぼれたミルクを見て泣くこと」は既成事実だからです。
ことわざと言うのは限りなく客観的(一般論的)なものですから、不定詞ではなく動名詞が使われているというのは納得ですよね。
※注意※
ちなみにこの表現は入試的にIt is no use(good)~ing「~しても無駄だ」とイディオム的に紹介されることが多いのですが、実際には~ingではなくto不定詞が使われていることもあります。つまり文法的には両方okなのですが、【ことわざ】だから、動名詞が使われているのだと覚えておくと良いでしょう。
例
It’s no use to give the patient any medicine because he died minutes ago.
「その患者に薬を与えても無駄だよ、数分前に亡くなってしまったから」
It is no use to do…は日常的に使われることは稀ですが、文法的には誤りではないことは覚えておいてください。
to不定詞=「主観」「可能性」「条件」
それに対して次の文はto不定詞ですよね。
It isn’t good to skip breakfast.
この文章はto skip breakfastが、あくまで個人的な(主観的)な考えであり、一般的には「朝食は抜かない」のだが、「もし朝食を抜いたとしたら=朝食を抜く可能性があるのなら」という主観の考えが入る時に使うんです。
It isn’t good to skip breakfast .
「【主観的に】(もし)朝食を抜いたとしたら、それはよくない」
したがって主節が仮定法の場合は【必ず】to不定詞を使うのも当然ですね。
例
It would be nice to be a man.
「男だったらいいのにな」
→「男である」のは間違いなく仮定的なこと
その他のポイント
ちょっと確認してみますか。次の2つの文の違いは?
例 「英語を勉強するのは簡単だ」
It is easy to study English.
→ 【もし英語を勉強するなら】というニュアンス。もしかしたら今までに英語を勉強したことがないのかも?
→ 話者の個人的な判断が加わる
It is easy studying English.
→【世間一般的に】 英語を勉強することは簡単だと言っている。
→ 客観的。個人の意見は考慮されていない。
あとがき
今回はなかなか難しい問題でしたが、最後に大学入試的なポイントを1つ。
It is ~ doing ~という構文なのですが、実はこの構文、「~」に入る補語は実は何でも良いわけではありません。
この構文で使える 補語は、easy、hard (difficult)、exciting、dull、useless、fun、no good、no use などの話者の感情や価値判断を示す言葉に限られるという特徴があります。
例
It is useless talking to him.
「彼に話しても無駄だ」
ぜひ覚えておいてくださいね!
また会いましょう。
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