この記事は
「代名詞itってwhen節やif節などの副詞節を受けることができるって本当ですか?通常はitって名詞を受けると思っていたのですが」
と疑問に思っている英語学習者に向けて記事を書いています。
●みなさんこんにちは、まこちょです。
itという単語はとても万能で、代名詞のit・天候のit・状況のit・仮主語、仮目的語のitと、とにかく様々な用法に使うことができる万能単語ですよね。
ところがこのit、時々「おや?」と思うような使い方をする時があります。
例えば代名詞のitと聞いたら通常は「名詞」を受けて使っていると私たちは思いますよね?だって代【名詞】なのだから。
ところがですね、この代名詞のit、実は「名詞」の代わりだけじゃなくて他の品詞も受けることが出来るとご存じでしょうか?そんな馬鹿な!と普通は思いますよね。
でもあるんです。副詞節のif節やwhen節、はたまたbecause節などを受ける特殊なitが。
そこで今回はこの副詞節を受ける特殊なitについて徹底解説!英文解釈などでもたびたび登場するこのitの用法をがっちり攻略いたします。
以下の記事をお読みいただくと、次の点であなたの英語力はグレートアップします!
ぜひマスターしていただいて、itに関してプロフェッショナルになってしまいましょう!
副詞節を受ける「状況のit」とは?
通常、代名詞itは「名詞」を受けることが多いですからいつしか、代名詞itは名詞【しか】受けられないと思ってしまいます。
ですが代名詞itが受ける範囲は、私たちが思っている以上に「広い」ことに注意しましょう。例えば次の文ですが、代名詞itが受けているものが何か分かるでしょうか?
例
I hate it when I have to be nice to someone.
「他人にいい顔しなきゃならないときは嫌だね」
この英文は代名詞it使っていますがこのitが指しているものは後ろのwhen節です。ですがこのwhen節、「~するとき」と解釈していることからもお分かりの通り、副詞節なんですよね。
I(S) hate(V) it(O) [when I have to be nice to someone](M).
「いや?when節には「名詞節」もあるので、このitは名詞節のwhen節を受けているんじゃないですか?」
と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、名詞節のwhenは「いつ~か」と解釈します。もしこのitが名詞節のwhen節を受けるitだったら
「私はいつ他人にいい顔しなきゃならないかは嫌だね」
となり意味が通じません。
when節、if節は「名詞節」「副詞節」によって意味が変わります。その見分け方について学習したい方は以下の記事を参考にしてみてください。
このようにitには「副詞節」を受けることができる用法があるということですが、このitは代名詞のitの中の【状況のit】と呼ばれるものであることは注意しましょう。
① 副詞節を受けることができる
② 訳し方は「その状況」
③ itが指しているのは副詞節の「中身」
少し例文を見てみましょう。まずはitが副詞節(if節)を受けているパターンです。
例
It would be helpful if you could help me with the report.
「報告書作成を手伝ってくれると【その状況は】助かるんだけど」
例
It would be convenient if you come here at once.
「すぐに来てくれたら【その状況は】都合が良いのですが」
例
In the country, if you don’t express an opinion, it means you don’t have one.
「その国では、意見を言わなければ、【その状況は】意見が無いことにされてしまう」
例
I would appreciate it if you could reply as soon as possible.
「早めにご返信いただけたら【その状況は】さいわいです」
この例文なんて、その気になったら「itって必要?」と思ってしまいがちですが(実際にこのitの有無を問う正誤問題が大学入試で出題されます)、appreciateは他動詞で必ず後ろには「名詞」が必要であり、副詞節のif節ではappreciateの「目的語」としては使えないんですね。
ポイントは、この「状況のit」ですが、副詞節を指しているわけではなく副詞節の「中身」を指しているという点です。
副詞節のwhen節を受ける状況のit
状況のitが受けるのはif節ばかりではありません。副詞節のwhen節やbecause節も受けることが出来るんです。
例
I like it when it rains.
「僕は雨が降ったとき、【その状況が】好きだ」
↓
「僕は雨の日が好きだ」
例
It was a shock to me when Ken turned out to be a teacher.
「ケンが先生だとわかったとき、【その状況が】私にはとてもショックだった」
↓
「ケンが先生だとわかったとき、私にはとてもショックだった」
状況のitが省略!?
この状況のitですが、まだついているだけマシで、中にはこのitを省略してしまう構文だってあるんです。
例えば以下の例文ですが、この構造ってどうなっているか分かりますか?
例
Just because the police say so doesn’t mean it’s true.
一見してこの英文が文型上「ありえない」形をしていると分かった方はお見事です!そう、この英文ですが because節がmeanの主語になっているのは見ただけで分かります。
ですがbecause節は「副詞節」しかありませんので、どう頑張ってもmeanの主語(S)にはなれるわけないんですね。英文の主語は必ず「名詞(句・節)」と決まっているんです。
実はこの英文、does not meanの前に状況のitが省略されているわけです。本来の形に戻すと、
Just because the police say so, it doesn’t mean it’s true.
「警察がそう言っているだけで、まだその状況が事実と決まったわけではない」
今ではすっかりJust because ~ doesn’t mean…「~だからといって…ということにはならない」という一種の構文として定着しています(ちなみにJustがつかないバージョンもあります)。
Just because~doesn’t mean…構文ほか、前置詞がついた名詞が主語になるパターンについては以下の記事を参考にしてください。
itが副詞節の内容を受けることあるの?:まとめ
さて、今回は、代名詞の一種である「状況のit」は名詞だけでなく「副詞節」を受けることができることについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。
私たちは「代名詞」と聞いたら誰だって「名詞」の代わりに使っているんだろうな、と思いがちですので、今回の副詞句の代わりに使っているitは正直びっくりしたのではないでしょうか。
ですが、この「状況のit」は意外にも長文読解でもよく見られる非常に頻出度合が高い箇所、ぜひ会得していただいて今後の英語学習に役立てていただければ幸いです!
また、会いましょう。
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