● こんにちは、まこちょです。
日々の英語学習などでよく迷ってしまうものに「能動態・受動態」があります。特にこの「態」が和訳問題などに絡むとふと考えてしまいますね。
「受動態」って何?と思った人、参考までにこちらの記事をどうぞ
www.makocho0828.net
「先生、英文が受動態で書かれている時は、そのまま『受動態』で訳したほうがいいですか?それとも『能動態』に戻した方がいいでしょうか?」
は、受験生だけでなくあらゆる英語学習者が一度は疑問に思う箇所かと思います。特にこの「態」の問題に「助動詞」がプラスされるといっそう際立ちます。例えば以下のような文はどうでしょう。
例
Rare animals can be seen in the zoo.
この文はcan be seenと、「助動詞+受動態」の形になっていますが訳すときは「受動態」「能動態」どちらが良いでしょうか。たしかに文法の形の通り「受動態」で訳すならば
「珍しい動物がその動物園で見られる」
となりますが、あまり日本語ではこういった表現は使いませんよね。どちらかというと「能動態」表現で
「その動物園では珍しい動物を見ることができる」
と表現します。その方が日本語としてなじみのある「自然」な文体だからです。
今の例は比較的短い文章でまだ訳しやすいと言えますが、以下では、実際の和訳問題を使って、この「助動詞+受動態」の訳し方についてみなさんと考えてみたいと思います。ぜひ一度訳してみてください。
「助動詞+受動態」の和訳問題
【問】次の文を和訳しなさい
Nobody can be termed a complete man who has no knowledge of what science has to teach. (慶応大)
【単語】
term A B 「AをBと呼ぶ」
complete 「完全な」
今回は慶応大学の和訳問題の一部を抜粋したものです。短いですが、これを日本語として自然な和訳にするのは骨が折れそうですね。単語を参考にして和訳してみましょう!
【解説】
termはSVOC文型をとる
● Nobody can be termed a complete man… ⇒ この文章の主節の文型は文の前半だけでわかります。termは「呼ぶ」という他動詞でSVOC文型。つまりcallと同じ形を取るのが特徴です。
例
He termed (called) the gas argon.
「彼はその気体をアルゴンと命名した」
↓
He(S) termed (called)(V) the gas(O) argon(C).
今回の文はcan be termedという形になっていますから「受動態」。受動態は「能動態」の目的語(O)が主語になった形であることは「受動態」の基本ルールです。したがってこの文は
term O C
「OをCと呼ぶ」
↓
O(S) be termed C
「O(S)はCと呼ばれる」
という形になっていることが分かります。
Nobody(O=S) can be termed(V) a complete man(C)…
NoはAny….not
この文を訳しづらくさせている要因の1つにNoがありますが、NoはAny … notのこと。したがってここでは,
Anybody can not be termed a complete man…
と考えることもできます。anybodyは「どんな人(でも)」と訳しましょう。この文は受動態で書かれていますから、まずはストレートに受動態の訳出をしてみます。
訳①「どんな人でも完全な人間と呼ばれることはできない」
うーん…分からなくもないですが、ちょっとぎこちない文章になってしまいました。ではanybodyを能動態の位置に戻して訳してみましょうか。
… can not term anybody a completeman
「どんな人でも、完全な人間と呼ぶことはできない」
先ほどの「受動態」の和訳と比べると、格段に分かりやすくなっていることが理解できると思います。
結論として「助動詞+受動態」の文を見たら、まず「受動態」で訳してみてしっくりくるようでしたら「能動態」に戻して訳すと上手くいきます。これがおススメの攻略法です!
whoの先行詞は?
では後ろの箇所を見ていきましょう。この文、実は「助動詞+受動態」だけじゃなくて、そのほかにもトラップが仕掛けられています。
… a complete man who has no knowledge of …
関係代名詞のwhoを使った関係詞節が後ろに控えていますが、このwhoの先行詞はなんでしょうか?
has no knowledge ofは直訳で「~についての知識を持たない」、つまり「~を知らない」と同じ意味です。もしこのwho節の先行詞が前のa complete manならば、
… a complete man who has no knowledge of …
「~を知らない完全な人間」
となってしまい、正直意味不明です。ここはa complete manが先行詞ではなく、Nobody(Anybody)が先行詞であることに気づきましょう。つまり先ほどの能動態の形で図解すると
… can not term anybody ⇐[who has no knowledge… ] a completeman
となっているのでした。訳は「…を知らない人はだれでも、完全な人間とは呼ぶことはできない」
関係代名詞 + have to Vの「騙し構文」に気づく
この文がさらに厄介なのは、なんともう1つトラップがあるからなんです。何か一文で3度おいしい(?)いかにも受験生にとっては嫌な問題になっています。
… of what science has to teach.
関係代名詞の後ろにhave(has) to Vが来たら注意が必要です。なぜなら解釈が2種類存在するからですよね。
この点は非常に重要!知らない人は以下の記事を熟読しよう
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have to Vは「Vしなければならない」ですが、ここでは「科学が教えなければならないこと」となり、まるで「科学」に意志があるような訳になってしまいます。
そうここはhave to Vのhaveとto Vが実はつながっていないのです。
…what science(S) has(V) →(O)がない to teach.
したがってここは「科学が教えるために持っているもの」⇒「科学が教えてくれるもの」と訳すと良いでしょう。
最後に訳をまとめてみましょう。
全体訳「科学が教えてくれることについて知識を持たない者はだれ一人として完全な人間と呼ぶことはできない」
まとめ
さて今回はいかがだったでしょうか。短い文ですがポイントはそこかしこにありまさに受験生泣かせ、しかもレベルの高い英文だったのではないでしょうか。
ぜひ復習して今後の英語学習にお役立てくださいませ!
ではまた
受動態について学習方法が今一つ分からない人は以下の記事を読んでみてください。効率よく受動態をマスターできます。
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