この記事は
「受動態になかにはbyを使わないものがありますが、by以外の前置詞を使う場合、何か法則みたいなものはありますか?by以外の受動態の表現を一つ一つ覚えるのって大変なので」
と受動態について悩んでいる英語学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英語の受動態は通常、能動態から書き換えるとby~を使って表現するのが普通です。
例
Ken used this computer.
↓
This computer was used by Ken.
「このコンピューターはケンによって使われた」
という風に、能動態の主語を後ろに回す時に、by +目的格と言う形にして表現するのが受動態の基本パターンなんですね。
受動態を学習すると、やたらに「be+過去分詞+by~」という形がクローズアップしがちですが、実は受動態、by以外の前置詞を使うこともあります。
と、こう書くと「また暗記かよ~」と思わず文法書をぶん投げてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実はby以外の前置詞は、ある程度「分類」することが出来るんですね。
そこで今回は受動態で使う前置詞はby以外に一体どのようなものがあるのかを徹底解説!と同時に、be動詞以外の動詞を使った受動態表現について確認します。
ぜひ以下の記事内容をマスターしていただいて、今後の英語学習にお役立てください。
受動態で使うby以外の前置詞
受動態で使う前置詞はbyのほかにat / about / withなどさまざまです。それぞれの前置詞は特徴がありますので、まずはイメージをつかんでしまいましょう。
→ その場で示す「感情的反応」と一緒に使う。
まずはこの前置詞からいきましょう。atの性格を一言でいうと「その瞬間に発生した感情」と一緒に使う前置詞になります。例えば次の例を見てください。
例
I was surprised at the news.
この英文は「私はその知らせに驚いた」という意味でatを使っていますよね。これは「私はその知らせを聞いて【その場で】驚いた」という意味です。
あとでじわじわ驚きが膨れ上がったのではなく、瞬間湯沸かし器のように(?)一瞬で驚いたのです。
よく考えたらsurpriseという動詞は何かがトリガーになってその瞬間に反応するタイプの単語ですよね。世の中には「サプライズパーティー」なんていうのもあるくらいですから。
ドアを開けた瞬間、クラッカーがパンパンパン!そのトリガーに対して【ゆっくり驚く】人なんていませんよね(笑)
つまりbe surprised「驚く」なんていう表現は、瞬間を表すatなどとめちゃくちゃ相性がよい、ということになります。次なんてどうでしょう。
例
He was disappointed at the test results.
この英文もatを使った受動態表現になります。be disappointed は「がっかりする」という表現ですが、どうです?みなさんもテストの結果を返却されたとき、自分の点数を見た【瞬間】にがっかりした方は多いんじゃないでしょうか。
ところがですね、disappointは以下のような使い方もできるのです。
例
She was disappointed with his attitude.
あれ?今度はatではなくwithという前置詞を使っています。atとwithにはいったい何の違いがあるというのでしょうか。
② with
→ じわじわと続く感情、じわじわと物事が進んでいく様を表すときに使う
disappointはatだけじゃなくwithも前置詞を取ることができるのですが、その結果一体atの場合と何が変わったというのでしょう?例えば
She was disappointed at his attitude.
「彼女は彼の態度にがっかりした」
この場合でしたら、彼の態度を【見た瞬間】にがっかりしたんですね。ところがこの文をwithに代えると
She was disappointed with his attitude.
「彼女は彼の態度にがっかりしていた」
こうなると彼の態度1つ1つがじわじわと彼女を「がっかり感」で包んだ、というニュアンスになります。
積もり積もって、という感じでしょうか。例えば彼氏とデートをしていたら彼の態度の嫌な点がたくさん見えてしまい、分かれるときにはもう「うんざり」といった感じです。
よく私は授業で、atは「瞬間系」、withは「じわじわ系」なんて説明したりしますよ。
このwithと非常に相性のいい単語があります。それはsatisfy。
例
He was satisfied with the movie.
「彼はその映画に満足した」
「満足する」という感情は「瞬間」というよりも、いろいろな要因が重なってこのような気持になることが多いですよね。
例えばこの例文ですが、映画を観に行ったときに映画館のイスに座っただけで満足する人ってあまりいないと思うんですよ。
映画のストーリー、絵、演出、そしてもちろん設備、音響など…あらゆる要素を感じまくって、その結果「この映画よかったよ~」となるわけですよね。
そう、つまり「満足する」という行為はどちらかというと「じわじわ系」なんですね。ですからbe satisfiedはatと一緒に使われることがないわけです。
何もwithが使われるのは「感情」の場合だけじゃないですよ。
例
The house is covered with snow.
「家は雪で覆われている」
この例文もwithが使われていますが、理由がお分かりでしょうか?
雪というのは「瞬間的」に辺りの景色を白くするのではありません。一粒一粒屋根に降り注いでいって、結果的に雪景色になるわけです。
これこそ「じわじわ系」の最もたるものだとは思いませんか?
このように持続性が感じられる場合、前置詞はwithを使うことが多いことを押さえておきましょう。
【その他の表現】
be annoyed with 「~にイライラしている」
be delighted with 「~を喜んでいる」
be disgusted with 「~に不快感を覚えている」
be pleased with 「~に喜んでいる」
be filled with「~で満たされている(~でいっぱいだ)
※withの後ろに道具が来て「~で」を表す表現もあります。
例
John was killed with a rifle.
「ジョンはライフルで殺された」
→ 「周辺」。いろいろな要因を示す場合に使われる。
受動態と一緒に使う前置詞にaboutもあります。この場合どのようなニュアンスになるのかというと、about Aで「Aを軸にしてその周辺を含めて」となります。例えば次の例ですが、
例
I am worried about you.
この英文の意味は、「あなたのことを心配している」ですが、正確に言うと心配しているのは「あなた」だけではなく「あなたの【いろいろなこと】」を心配しているのです。
このaboutが「心配・不安系」の受動態とよく一緒に使われるのは、「心配ごと」「不安なこと」というのは、はっきりしない、1つに定まらないから「不安」だからですね。
したがって「いろいろなことをすべて含めて」の意味合いを持つaboutと相性がいいんですね。例えば先ほどのdisappointですが、実はaboutと一緒に使うことだって出来るんです。
He was disappointed about the test results.
そうすると彼ががっかりしているのはテストの結果ももちろんですが、「テスト勉強についての内容」「テスト勉強の時間」「テスト勉強の集中度合い」など、テスト結果の要因となったあらゆるテスト関連の内容についていろいろ「がっかり」しているわけです。
be concerned about 「~について(いろいろ)心配している」
be distressed about 「~について(いろいろ)心を痛めている」
be pleased about 「~について(いろいろ)喜んでいる」
→ 事故や衣類・分野など
例
He was injured in the accident.
「彼はその事故で負傷した」
事故や災害などを表す前置詞はinを使って表現します。
例
He is said to have been killed in the battle.
「彼は戦死したとされる」
ちなみにこの表現ではbe killed inとは言いますが、be died inとは使いません。理由なのですが、dieは自動詞なのでそもそもbe diedと受動態表現に出来ないからなのです。
このinを使った表現でbe caught in a shower「にわか雨にあう」があります。この表現もinの後ろに「災害」を表す表現が来ますので注意しましょう。
例
John said he was caught in traffic.
「ジョンは交通渋滞に巻き込まれたと言っていました」
また受動態でinを使うものと言ったらbe interested in が超有名ですね。inの後ろに「分野」を表すものが来る時にも使うことが出来ます。
例
I’m interested in Japanese culture.
「私は日本の文化について興味があります」
get +過去分詞について
受動態は「be + 受動態」だけではなくて、getを使って表現することができます。例えばbe brokenは次のようにも表現できるのですが、違いが分かるでしょうか?
例①
The window was broken.
例②
The window got broken.
例①の方は「その窓は壊れていた」、または「その窓は壊された」と両方の解釈が可能なのですが、これが例②になると「その窓は壊された」のみの解釈になります。
実はこの辺は英語の上級者でも曖昧な方が多く、以下のようなポイントがあったりします。
①「状態」と「動作」を表す
② ①の差が極めて曖昧
【get + 過去分詞】
①「動作」が強調される
②「~される(た)」という意味になる
③ 主に会話調で使われる。したがって論文などで使うのはまれ
また上記の違いのほかに、「get+過去分詞」には「主語が【自ら】~の状態になる」の表現でも使うことが出来るのが最大の特徴と言えるでしょう。
例
He got divorced.
「彼は離婚した」
例
I got lost.
「道に迷っちゃった」
【get + 過去分詞の一例】
get washed「体を洗う」
get promoted「昇進する」
get married「結婚する」
get stolen「盗まれる」
get arrested「逮捕される」
get checked out「検査してもらう」
by以外を使う受動態について:まとめ
さて、今回はby以外の前置詞を使う受動態表現について学習しましたが、いかがでしたでしょうか。
atは「瞬間」、withは「じわじわじっくり」、aboutは「周辺」と、ある程度イメージでまとめて置くと知らない表現が出てきたときに対処しやすくなります。ぜひ身に着けてみてくださいね!
また会いましょう。
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