この記事は
「比較級のas ~as とthanですが、as / than以下がない場合があるのですが、あれはどうしてですか?as / than以下が「省略」されてしまったら比べている対象が分からなくなるじゃないですか!」
と大いに憤慨している英語学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちはまこちょです。お元気ですか?
英語には「比較級」と呼ばれる形があります。as~as / -er thanなんていうのは独特な形をしているのでご存じの方も多いでしょう。
ところがこの比較級、as / than以下はなかなか不思議なことが起こることで有名(?)です。
例えばですね、このas / than以下が英文中から消えちゃったりするのをご存じでしょうか?
え?asとthanってas~as とか-er(more -) thanで使うあのasとかthan?と思った方もいたのではないでしょうか。そう、あのas / thanです。
このasとthanなのですが、意外に「誤解」が多く、そのためになぜas以下、than以下が通常とは違う形になっているのかが今ひとつ理解できていない方が多いんですよね。
しかもその割には、無視できないレベルで様々なシーンで登場するas / thanなものですから厄介です。
そこで今回はas / than以下について起こる「省略」について徹底解説!なぜas / than以下が「省略」されることがあるのかを徹底解説いたします。
以下の記事を読んでみてください。すると以下の点であなたの英語力は向上するでしょう。
▶ as / than 以下の「省略」は2パターンあることが分かる
ぜひマスターして今後の英語学習にお役立てください!
as / than 以下の省略はどんな時に起こるのか?
まずは以下の課題英文を「予備知識なしで」和訳してみましょう。
So many things are said about Japan and America. Some people say that no two peoples are less similar.
[単語・表現]
similar「似ている」
さぁどうでしょうか。意外と上手く和訳できないのではないでしょうか。
では、この課題英文の解説に入る前に今回のテーマである比較級のas / thanについて軽く説明します。意外と「深い」この表現、必見ですよ~!(笑)
as / than以下は2種類の「省略」パターンがある!?
まずですね、以下の簡単な例をご覧ください。
例
I am taller than you.
「私はあなたより背が高い」
I am as tall as you.
「私はあなたと同じくらいの背の高さだ」
おいおいおい老い(?)…馬鹿にすんなよまこちょ!と思ったかもしれませんが、今からお話するのにベストな例文なんですよ。
みなさんにお聞きします。この2つの例文にはasやthanが使われていますが、この2つの「品詞」って何か答えられますか?
というと、「え?asもthanも後ろに名詞のyouが置いてあるから前置詞じゃないんですか?」
と思う方がいらっしゃるかと思うのですが、この辺当たりから誤解を生んでしまっているようです。
実はas / thanは前置詞ではなくて「接続詞」。この点は今回のテーマの「核」となる部分ですので、しっかり押さえてくださいね。
→ 品詞は接続詞だ
「接続詞」ということが分かると何が分かるというのでしょう?実はas / than以下の形が違ったものに見えてくるくらい重要なポイントがあるんです。
それは接続詞の後ろには「文(S+V)」が続くという点。
接続詞の「後ろ」について極めたい方は以下の記事が非常におススメ!
↓↓↓↓↓
●「前置詞と接続詞の違いとは?その見分け方と使い方を徹底的にモノにしよう!」
●「接続詞の後の文(S+V)の省略はちゃんとルールがあった!その方法を教えます」
→ as / thanの後ろには主語(S)と動詞(V)が続く
え?だってthanの後ろにはyouしかないじゃないか!と思った方へ。そう、どう見てもこの例文はthan / as以下が「文」には見えません。
ですが、as / thanが「接続詞」であるという知識を持っていれば、このyouが全く別物に見えるはずなのです。それは
→ as / thanの後ろの文は、よく「省略」が起こる
そう、S+Vと置かなくてはならないのにそう見えない場合、それは【文の一部が書略されている】からなのです。
I am taller than you.
↓
I am taller than you (are tall).
I am as tall as you.
↓
I am as tall as you (are tall).
比較級のas~asと-er thanは「比べる」ものですから、これが「文」になると必然的に非常に似ている形になりますので、as / than以下の文には「省略」が起こりやすくなるんですね。
※このas以下・than以下の形については英文解釈上【極めて】重要なポイントです。したがって「まこちょ英語ブログ」でもこの点はかなり記事数を割いて徹底的に解説しておりますので、これを機会にどっぷりと学習してみてはいかがでしょうか。
↓↓↓↓↓
●「「比較」の学習方法が分からない人必見!効果的な手順を教えます」
●「as~as と 比較級than の後の代名詞は「主格」か「目的格」か徹底検証してみた」
https://www.makocho0828.net/entry/hikaku-as-than-171221
もう1つのas / thanの「省略」
さて本日のメインテーマがやってまいりました(笑)これまでの解説でas / thanは接続詞ゆえに、後ろには文(S+V)を置くのが普通だがよく省略が起こる、ということをご理解いただけたかと思います。
ところがですね、実はas / thanには【もう1つ】の省略パターンがあるんです。
これまではas / than以下の文の【一部】が省略される場合について解説したわけですが、実は【一部】どころか、as / thanを含めた全部が省略されるという極めてデンジャラスな「省略」があるんですね。
例えば次の例文を見てください。
例
Please speak more slowly.
「もっとゆっくり話してください」
この英文は比較級のmoreが使われていますが、比較級とつきもののthan以下が見当たりません。
まず初めにお断りしておきますが、比較級にthanは【必ず】なければいけません。比較級があるからthanがあるのではなく、thanがあるから比較級があるんですね。
つまり上記の英文はthan以下を書かなければいけないのにないわけです。つまり省略されているわけですよね。
ではas / than以下はいったいどういった場合に「省略」されるのか、次の3パターンをしっかり押さえればバッチリです!
① as now / than nowが省略されている。
まず、一番ポピュラーな省略がこれでしょうか。than now「今よりも(現在よりも)」が省略されるケースです。上記の例文でしたら
Please speak more slowly (than now).
「(今よりも)もっとゆっくり話してください」
とthan nowが省略されているんですね。あまりにも当然なのでas nowやthan nowなどを書いても、正直ウザいだけなんですね。
ちなみにこのパターンの省略はas~as…「…と同じくらい~だ」の方がはるかに分かりにくいです。
例
I have never been as happy.
さて、この文はいかがでしょうか。何か思わずasの存在を忘れて「私はこれまで一度も幸せだったことはない」とか訳してしまいそうじゃないでしょうか?
ところが英文に無意味にasなんてつくわけないんですよね。
実はこの英文as~as…の後半のas以下が省略されているんです。
I have never been as happy (as now).
not(never) as~as…は「…ほど~なものはない」と訳します。つまりこの英文は「今ほど幸せなことはこれまでなかった」と訳すことになります。
つまり平たく言えば「今が一番幸せだ」と。
おいおい…先ほどの「私はこれまで一度も幸せだったことはない」と真逆の意味になってしまったぞ…(;^ω^)これ危険ネ(笑)
このasは見落としがちです!ぜひ英文を注視してくださいね。
② 比べる対象が「前」の文に出ている場合
これも英文を見てもらった方が早いかもしれません。
例
Nothing is more precious than time, but nothing is more irritating.
前半の文はもろmore- thanの比較級ですね。「時間ほど貴重なものはない」と解釈します。
ところがbut以下の文もmoreの比較級が使われている割に、than以下が見当たらないのです。前の文のthan timeと「同じ」だから省略されているんですね。
Nothing is more precious than time, but nothing is more irritating.
↓
Nothing is more precious than time, but nothing is more irritating (than time).
「時間ほど貴重なものはないが、(時間ほど)イラつくものはない」
例
I can run fast and he can run faster.
↓
… he can run faster (than I can run fast)
「私は速く走りますが、彼はぼくより速く走ることができます」
③ 目の前の「あなた」と比べている場合
いや~、これは知らないと相当悩みますよ。何と目の前の「あなた」と比べているときもas / than以下が省略される時があるんですね!
例
You look more beautiful in white.
↓
You look more beautiful in white (than you are beautiful)
「白い服を着るとより美しく見えるよ」
この英文は今目の前にいる「あなた」と比べています。「今も美しいんだけど白い服を着るとより美しく見える」という意味なんですね。
さて、以上のポイントを踏まえた上で、今回の課題英文をもう一度リライトしてみましょう。そうするとあら不思議!しっかりと訳すことができることに気がつくことでしょう。
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【課題英文】
So many things are said about Japan and America. Some people say that no two peoples are less similar.
[単語・表現]
similar「似ている」
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【解説】
●So many things are said about Japan and America
この文は特に問題はないかと。別に比較級が使われているわけでもありませんのでお気楽に訳してください(笑)
訳「日本とアメリカについて非常に多くのことが言われている」
●Some people say…
someを見るとつい「いくつかの」と機械的に訳してしまっている方をよく見ます。確かに「いくつかの」と訳してもいい場合もありますが、実はそれはsomeのほんの一部分の訳し方にすぎません。
someの本質は「よく分からない」です。数が具体的に言えないからsomeを使っているのだ、ということをよく覚えておいてください。
ここでは「…と言う人もいる」とすると自然な訳になります。
someを味方につけたい(?)方は以下の記事を確認してみてください。someをおいそれと「いくつかの」とは訳せなくなります。
↓↓↓↓↓
●「someの訳し方は「いくつかの」だけじゃない!some+名詞の上手い訳し方はこれだ」
●no two peoples are less similar.
さて、問題の箇所です(笑)。lessがlittleの比較級ですのでこの文はthan以下がないことになりますね。いったいどういった内容が省略されているというのでしょう…?
no two peoples are less similar than….
ただヒントがありますよね。それは比較級の前にnoという「否定語」があること。
否定語… 比較級 than…
この形になったときのthanは「より」ではなく「ほど」と訳すんです。ということはこの英文は
「…ほど似ていない国民は2つといない」
となることが分かります。peopleは「人々」ですが通常は「s」がつきません。sがついたpeopleは「国民・民族」と訳します。
比較級の比べているものは、極めて「似ている」のが条件です。つまりthan以下に隠れているのも「国民」である可能性は高いですね。
そういえば、さきほど「国民」を表すワードが前文に出てきていましたよね?
そう、than以下に隠れていたのは先ほどの「Japan and America」であることが分かるわけです。
no two peoples are less similar (than Japan and America).
「日本とアメリカほど似ていない国民は2つといない」
全訳「非常に多くのことが日本とアメリカについて言われている。これ(日本とアメリカ)ほど似ていない国民は2つとないと言う人もいる」
as / than以下の省略について:まとめ
さて、今回はas / than以下の省略について解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
もしこの「省略」について、実際に長文で学習したい!と思った方は、以下の記事で練習してみましょう。なかなか歯ごたえのある英文で、今回のテーマについて学習できるはずですよ!
「比較級 than以下の省略はなぜ起こるのか?同じ形の反復をしっかり攻略する!【英文解釈】」
また会いましょう!
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