● こんにちは、まこちょです。
今回は大学受験でも高頻度で出題される「できる」の用法、able, possible, capableの違いについてです。この使い分けはしっかりできてますか?
案外苦手にしている人も多いこの語法、先日もある生徒がこのような質問を持ってきたんですよね。
「先生、この前英作文で『この川で泳ぐことができる』という問題が出たんですけど、これって次のように表現したらダメなのでしょうか」
ちょっとその生徒が作った英作文を見せてもらいました。
You are possible to swim in this river.
なるほど、「できる」という表現に苦労している節が見受けられます。でも、この英作文はおかしい、と素直に言えない人もいるのではないでしょうか。
たしかに日本語で考えるとable、possible、capableはどれも使えそうな気がしますよね。
そこで今回はこのable、possible、capableの使い分けを徹底解説!文法の4択問題だけでなく、英作文等の表現も以下の説明で間違えることがなくなります。ぜひマスターしていただければ幸いです!
たしかにこの英単語、どれも「できる・可能だ」という意味なのですが、使い方が全く違うんです。
まずは「形」から使い方のポイントを押さえることが重要になってきます。あわてずに一つ一つ押さえましょう。
「できる」の表現は多種多様!それぞれの使いかたを覚えよう
① able (unable)
まずは私たちにとってなじみ深い(?)ableから押さえることをおすすめします。この単語、意外に制約が多くて舐めていると怪我しますよ。
まずこのableは品詞的に「形容詞」ですので、使い方はhappyやbusyなどど同じ使い方をします。中学の時に基本形としてbe able toという形で学習したかと思います。まずはこの形をしっかりと押さえることから始めましょう。
次のポイントとしてこのableは「人」を主語に取るというところが非常に重要です。つまりYou are able… とかHe is able…という形になるんですね。
まちがってもIt is able…とかThat is able...のような「人以外」の名詞を主語に取るということはありません。
例
He is able to play soccer.
このableはもう1つ重要な語法があり、名詞を修飾する用法があるという点もしっかりと押さえておきましょう。
例
He is an able man
=He is a man of ability.
「彼はできる人だ」
ここまでをまとめておきます。
② 主語は必ず「人」
③ 名詞を修飾できる
それに対してpossibleはどう使うのでしょう?こういった語法を覚える時は、つねに違いを意識しながら学習することが重要なんです。
② possible (impossible)
possibleも先ほどのableと同じ「形容詞」というところは似ているのですが、ableとの最大の違いは、possibleは「人」を主語に取れないというところなんです。ここを絶対に頭に刻み込むこと。ここを逃すとこの学習事態が無意味になってしまうんです。
したがって先ほどの生徒の英作文はこの点でアウト、ということになります。もう一度見て見ましょう。
×You are possible to swim in this river.
You は「人」ですからね、一見よさそうに見えるのですがこの形は認められてないんです。したがってこの英文を直すにはpossibleをableにして
You are able to swim in this river.
とするとバッチリであると分かります。また、もし possibleを使って表現したいのならば、「人」を主語にしなければ良いのですから、It is possible…という形にして「仮主語構文」を作り、It is possible for 人 to V…とすると良いでしょう。
possible (impossible)はIt is possible… と文をスタートさせると覚えて差し支えないのです。
It is possible for you to swim in this river.
仮主語構文についての詳しい記事はこちらへ
② 主語に「人」は置けない
※注意!!※
このpossibleは確かに「人」主語を置くことはできないのですが、「タフ構文」といってもともとto Vの後ろにあった名詞がItの代わりに文頭に出るという構文があることは注意が必要。その時はto Vの後ろの名詞の箇所が開いている形になっているのでよくチェックしてくださいね!
例
It is possible to work with him.
「彼と仕事することはできる」
=He is possible to work with.
そうすると、まるでpossibleが「人」主語を取っているように見えるから危険です。
07/27【追記】:ここは必ず読んでください!
このタフ構文なのですが、記事を公開したところ、複数の熱心な読者の方によりあるご指摘をいただきました。そのご指摘とは『「タフ構文」はimpossibleでは可能だがpossibleは「タフ構文」にすることはできない』というものです。な!なにぃ!!!?
さっそく他のサイトを含めた文献で確認したところ、確かに載っているんです。例えば『総合英文法』P1229によると、
タフ構文が使える形容詞は、難易度を表す形容詞か、愉快・不愉快を表す形容詞であると説明されていますが、下のリストを見ると、impossible はタフ構文形容詞であるのに、possible はそうでないということが記載されています。
・ 難易度:difficult、easy、hard、tough
・ 愉快・不愉快:awkward、convenient、nice、pleasant、unpleasant
・ その他:impossible、tricky
合計 11 個
【追記終了】
いや…これは本当に勉強になりました。この点を指摘してくださいました読者の方には深く感謝するとともに、まだまだ英文法にも知らないことがあるのだなぁと、奢ってんじゃねーぞまこちょ!とこの歳になって反省したしきりです。本当にありがとうございました!
いやしかし、それにしても不思議です。hard(difficult)とその逆の意味であるeasyは「タフ構文」化できるのに、なぜimpossibleの逆のpossibleはタフ構文にできないのだろう?不思議でしょうがない…
というかあまりにも不思議すぎるので実は念入りに調べてみました。すると仮説レベルである考察を見つけたのでここでご紹介いたします。
【仮説】tough構文でpossibleが使えない理由
(1) This book is difficult to read. 「この本は読むのが難しい」
(2) The river is impossible to swim in. 「その川で泳ぐのは不可能だ」
上記の英文は一部の文法書にはtough構文と表示されている。
この構文は、S+難易・不可を表す形容詞+toVの形式になっており、toVの後ろには本来あるべき名詞を置かない。その名詞が主語と同じものだからである。(1)の文では、readの後ろには目的語がないのは、主語のthis bookと同じだからであり、(2)の文では、inの後ろに前置詞の目的語がないのは、主語のthe riverと同じだからである。
この構文を初めて見たという人は少ないと思われる。ほとんどの人は学校文法(伝統文法)で習っているはずである。また、大学入試でも出題されることもあり、受験参考書には、循環構文としてまとめられている。この構文で用いられる形容詞は、tough, difficult, easy, impossibleなど「難しい,易しい,不可能である」という意味の形容詞なので、「難易・不可」の形容詞としてまとめられていることが多い。
しかし、この構文では、impossibleの反意語であるpossibleを用いることができないのである。
例えば、This book is possible to read.は理屈では文法的に正しいように思えるが、実は非文法的とある。
いったい、なぜだろう。言語なので例外があるのは当たり前ということは承知の上だが、それにしても納得しづらい。
difficultの反意語であるeasyは使えるのに、なぜ、impossibleの反意語であるpossibleは使えないのか?
1つの仮説を立ててみた。
その前に、能動受動態について触れてみる。次の文をJespersenが能動受動態と名づけた。
(3) This car sells poorly.「この車はあまり売れない」
(4) Your translation reads well.「君の翻訳は読みやすい」
この構文は能動態の形式で受動的な意味を表し、生成英文法ではこれを中間態(middle voice)と呼ばれている。この文に使われる動詞はsell, readなどで、日本語では「売れる、読める」のような可能動詞が対応する。※まこちょ注「能動受動態」については以下の記事を参考にしてください
能動受動態ってなんだよ!?ネタか?その動詞と作り方を教えます!...
しかし、sell, readを使っても、次のような文は非文法的で、誤りである。
(5) This car sells. ← 非文法的
(6) Your translation reads. ← 非文法的
どうして(5) (6)は非文法的なんだろうか。それは、この構文では必ず動詞の後ろにpoorly, well, badlyなどの様態を表す副詞や形容詞をつけなければならないからである。(3) (4)の文ではそれぞれ動詞の後ろにpoorly, wellなどの様態を表す副詞がある。これらの副詞は情報構造上、新情報になっており、それらを削除した(5) (6)は新情報のない文とされ容認されないのである。
※まこちょ注 「旧情報」「新情報」についての記事はこちらをどうぞ
「情報構造」って一体何なのか徹底的に考えてみた!(基礎編)「情報構造」という考え方とはいったい何でしょう?情報を円滑に相手に伝えるにはどういったことに注意すればよいのか今回は検討します!読みやすい・伝わりやすい英文を書くにはいったいどうすればよいのか、このブログを通じて考えていきましょう!
ここで、話をtough構文に戻してみる。
(7) This book is possible to read. ← 非文法的
(7)の文は、possibleを用いているので誤りである。なぜだろうか。この文を無理やり訳すと、「この本は読める」という意味になり、日本語は「読める」という可能動詞になっている。これを能動受動態に書き換えると、次のようになる。
(8) This book reads. ← 非文法的
(8)の文には、新情報となる様態の副詞がないため文としては成り立たない。
よって、tough構文でpossibleが使用できない理由は、新情報となる表現が不足しているためということになる。
一方、impossibleの場合は否定要素が含まれているので、能動受動態に書き換えた場合には否定語が用いられる。否定後は新情報になる。そういうわけで、tough構文ではimpossibleは使用可能となることが分かる。
もちろん、仮説の段階なので何かあればコメントください。
≪参考文献≫
現代英文法講義 開拓者 安藤貞雄 著
タフ構文についての記事はこちらへ
③ capable
capableも品詞は「形容詞」で先ほどのable、possibleと同じです。しかも主語は「人・人以外」両方取れるのです。
ポイントは後ろにくる形がtoVではなくof ~ingになるというところでしょうか。先ほどの例文を参照するとこうなります。
例
You are capable of swimming in this river.
つまり「前」ではなくて「後ろ」の形が前者の2つとは違うということですね。
② 主語に「人・人以外」の両方置ける
まとめ
さて今回はいかがだったでしょうか。おなじ「できる」なのですが形に注目すると、違いがはっきり分かるのでおススメです。
英作文も間違えることがなくなりますのでぜひ今後の英語学習にお役立てください。
ではまた
仮主語構文について詳しい学習手順が知りたい記事はこちらへどうぞ。
コメント
追記の仮説のところ読まさせていただきました。すごい分かりやすかったです。
「瓜生・篠田の頻出英文法・語法問題1000」で不定詞の勉強をしていたのですが、やっぱり「これらの単語が大学入試で問われる。ただし、possibleは用いられないことに注意しよう。」と書かれていて「だからなんでやねん」となりましたが、なるほどそうだったんですねー。
ありがとうございましたm(__)m
こんにちは、まこちょです。いつもお読みいただきましてありがとうございます。
「possibleがタフ構文にできない」というのはなかなかショッキングな内容なのですが、2019年 5月時点で、まだ自分自身でも「これだ!」という結論が出せないままになっています。
おそらく、現状で一番信憑性のある「仮説」を今回ご紹介させていただいておりますが、新たなことが分かりましたら、即、追記という形でご紹介させていただきます。
逆に何かお分かりになりましたら、ぜひ教えてくださいね(笑)