● みなさんこんにちは、まこちょです。
英語には「否定の副詞」と呼ばれるものがあります。
そう、not、never、などが代表的ですね。
こういったものが「文頭」にくると「倒置」といって、後ろの文の語順が変わるという、ちょっと厄介な現象がおこるんです。
具体的に言うと後ろの文が【疑問文と同じ語順】になるんですね。例えば
例 I have never read a book.
↓
Never have I read a book.
のように語順が変わるんです。この点は苦手な受験生も多く、これに関する入試問題もたくさん出題されます。
ところで、なぜ否定の副詞が文頭に来ると倒置するのでしょうか?
この疑問は、正直言って、英語学習者ならば一度は考えるのではないでしょうか。ところがこの疑問は実はあっさり解決できるんです!
それは否定の副詞がもつ【ある性質】にあった!
と言うわけで今回はこの疑問にバッチリ答えます。是非、今後の英語学習に役立てていただければ幸いです。
否定の副詞が倒置する理由
英語学習において【品詞】を知るのは非常に重要です。
それは、英語は品詞のルールを実によく守って文が構成されるからなのですが、
その中で「副詞」は比較的【自由度が高い】といわれています。悪くいうと「曖昧」といってもいいかも。
その気になったら文のどこにでも置けますからね。例えば「副詞句」のfor exampleなんて、次の3ヶ所に置けますよ。
① For example, I am a student.
② I, for example, am a student.
③ I am a student, for example.
と、このように副詞は自由度が高いものですから、あんまり人によって置く位置が異なると、英文が読みづらくなるので、ある程度は種類によって配置を【制限】するのが普通です。
例えば「動詞」を修飾する場合は【動詞の近く】に置くとかがそうですね。
例 I often play baseball.
「よく野球をする」
これをいくら自由度が高いと言ったって、
I play baseball often.
とはしませんよね。ルールに守られているんです。
not、neverが修飾しているのは何?
not、never等の否定の副詞も動詞を修飾します。
したがって否定の副詞も動詞を修飾する場合はなるべく【動詞の近くに置く】必要があります。
I don’t know…や I was not …のように各動詞の近くに置いてありますよね。
ところが文頭に否定の副詞が移動してしまうと、結果的に動詞と離れることになりますから、このルールに反することになりますよね。
したがって疑問文の形を取ることによってbe動詞、一般動詞(do / does / did)、助動詞(canなど)などが否定の副詞の近くになるべく位置するように配慮されたのです。
Only は否定の副詞の仲間
Onlyも否定の副詞として認識されます。「~だけ」で否定じゃないじゃないか!と思うかもしれません。ですが、
例 I only study English.
「私は英語だけ勉強する」
は裏を返せば「私は英語しか勉強しない」と同じです。
つまりonlyは「否定」に訳せるんですね。
したがってこの文もOnlyが「文頭」に出ると
Only do I study English.
と後ろの文が「倒置」することになります。それはonlyの後ろに副詞(句・節)が続いても同様です。
例 Only recently, did I receive the letter.
「最近になってやっとその手紙を受け取った」
例 Only after she died did I realize how much I loved her.
「彼女に死なれて初めて、どんなに彼女を愛していたのかわかった」
これらはすべて主節の文全体(正確に言うと主節の文の【動詞】)を否定する場合に起こる現象なのです。
ですから、動詞を否定したものでなければ倒置は起こらないことも押さえておきましょう。
例① In no clothes does she look cool.
「どんな服を着ても彼女はかっこよくない」
この例①ではlookを否定しているので文頭に否定の副詞句が移動したとき「倒置」しています。ところが
例② In no clothes, she looks cool.
「服を着ないと(裸だと)彼女はかっこいい」
この文ではlookを否定していないので、おなじIn no clothesでも後ろの文は倒置していないのです。
否定の副詞の英文を解釈してみよう
ここで実戦練習。実際の英文で「否定の副詞」はどのように出題されるのか感じてみてください。
【問】次の英文を読みなさい
①Never again will the world and everything in it be excitingly new, so filled with wonder. ②Never again will physical, mental, spiritual, growth be so natural and unavoidable.
否定の副詞による「倒置」がここまで英文を読むのを難しくさせるのか…と思わず思ってしまう例文です。
解法
● Never again will…
→ Never againは「否定の副詞」。いきなりですね(笑)英文は否定の副詞が「文頭」に来ると、後ろの文が「倒置」するのは本日のポイント。倒置でピンとこない人は何度も言いますが【疑問文と同じ語順になる】と覚えておけばよいでしょう。
するとこのwillは疑問文として主語の前に飛び出しているのだ、と考えられた人は頭の中で、
Never again the world and everything in it will be excitingly new
とwillの位置を戻して考えられたかと思います。itはthe worldを指す代名詞、excitinglyは「興奮させるほど」
訳「世界とその中にあるあらゆるものが人を興奮させるほど新しいものは二度とないだろう」
続いて
… , so filled with wonder.
このfilledは動詞でしょうか、それとも過去分詞でしょうか。実はすぐ分かります。
filledが動詞でしたら、この③文は最初からピリオドまでで動詞が2つあることになりますね。つまり、
動詞の数ー1=接続詞・関係詞の数
ですのでこの文には接続詞か関係詞が「1つ」使われてなければいけませんが見当たりません。
それはfilledが動詞ではなく「過去分詞」だからということになります。
filledの前はnewで形容詞ですから修飾できません。つまりこの過去分詞のfilledは「分詞構文」として使われているのです。つまり
Never again the world… will be excitingly new and so (will be) filled with wonder.
という形が分詞構文の基本ルールを使ってandとwill beが省略されていたのでした。
訳「子供時代ほど、世界とその中にあるあらゆるものが人を興奮させるほど新しく、脅威に満ちていることは二度とないだろう」
[④の文]
Never again will physical, mental, spiritual, growth be so natural and unavoidable.
● Never again will…
⇒ またnever again。復習ですね。後ろが倒置していますのでwillを戻してみましょう。
Never again physical, mental, spiritual, growth will be so natural…
willの前には名詞がgrowthしかありませんのでこれが主語(S)。このgrowthに形容詞が前から「3つ」もかかります。 physical「肉体的な」、 mental「知的な」、 spiritual「精神的な」
訳「肉体的、知的、精神的成長がこれほど自然で避けられないものであることは、二度とないだろう」
さて決まった!全体訳はこれです。
全体訳「世界とその中にあるあらゆるものが人を興奮させるほど新しく、脅威に満ちていることは二度とないだろう。肉体的、知的、精神的成長がこれほど自然で避けられないものであることは、二度とないだろう」
まとめ
さて今回はいかがだったでしょうか。否定の副詞が文頭に出た時、それが主節の動詞を否定しているときにはまるで「動詞」の近くにいたいのだと言わんばかりに倒置するということは覚えておいてよいかと思います!
ではまた
「倒置」の学習方法が今一つよく分からない方は以下のボタンをクリック!
コメント